【資料写真】IOCのバッハ会長らとオンライン形式で行われた合同会議に出席した大会組織委員会の森喜朗会長(左)=2020年9月、東京都中央区

【資料写真】IOCのバッハ会長らとオンライン形式で行われた合同会議に出席した大会組織委員会の森喜朗会長(左)=2020年9月、東京都中央区

 いつもの舌禍も今回ばかりは責任問題になる。第1報に接し、そう直感した。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が3日、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」などと持論を展開した。以前国内競技団体の幹部から、国が一律に定めた女性役員比率に引き上げる苦労話を私も聞いたことはあるが、だからといって女性という属性に問題があるかのような発言の無神経さには憤りを覚える。

 男女平等について国際オリンピック委員会(IOC)は想像以上に重要視している。3年前、東京都内でJOCの記者セミナーがあり、テーマは「スポーツ報道におけるジェンダーバランス」だった。最も印象に残ったのは、IOCプレス委員会のニュージーランド人女性の講義。紙面上のアスリートの男女比を半々にするよう求め「皆さんは非常に大きな影響力を持っている」と奮起を促された。

 森氏は4日、組織委で急きょ謝罪会見を開いた。取材案内が届いたのは開始約1時間前。「感染拡大防止の観点」から会見場への入室人数が制限され、なるべくオンラインで参加するよう書かれていた。それを守り、私も所定のチャット機能で質問をしたが、会場で手を挙げた人しか当てられず20分で打ち切られた。

 この一件は、あらゆる差別を認めない五輪の根本原則を揺るがしかねない。同じ質問が繰り返されたとしても根気強く答える姿勢が必要だったのではないか。森氏の態度はもちろん、その不遜さをいさめられない組織委の対応に、限界を見た。