2019年の参院選広島選挙区を巡り、公選法の買収の罪で東京地裁から有罪判決を受けた参院議員河井案里氏が、議員辞職した。

 判決に控訴しない考えも表明し、懲役1年4月、執行猶予5年の有罪が確定することになった。

 辞職は当然であり、遅きに失したと言わざるをえない。

 案里氏は19年秋に疑惑が浮上してから国会を休みがちで、昨年6月に東京地検特捜部に逮捕されて以降は本会議をすべて欠席している。職務も説明も行わず、議員の歳費や期末手当など逮捕後も約1300万円余りを受け取っていることへの批判も高まっていた。

 案里氏は裁判で無罪を主張してきた。辞職表明の文書コメントで、有罪判決に「納得しかねる」とする一方、「信頼を回復できなかったことは情けなく、政治的責任を引き受ける」とした。

 地裁判決は、明確に選挙買収を認定した。控訴しても覆すのは厳しいとみて、上級審での有罪確定で強制失職となるのを避ける判断に追い込まれたのではないか。

 自ら政治的責任を取ると言うのなら、まず国民の前で事実を話すことだ。「区切りがついたところで説明したい」と公言していたのに、捜査中や公判中を理由に説明を避け続けてきた。いまが区切りの時に他なるまい。

 その責任は、夫で元法相の克行衆院議員も問われている。

 地裁判決では、克行氏が共謀し、県議や首長ら100人に計2900万円余りを配った選挙買収の全体を計画したと認定された。

 自身の公判で無罪を主張しているが、受領者の大半が買収を認める証言をしている。案里氏の有罪確定の事実は重く、克行氏も速やかに議員辞職すべきである。

 夫妻は逮捕前日に離党したが、公認候補として破格の資金1億5千万円を投じた自民党も責任を免れない。多くは税金の政党交付金であり、買収に使われていないのか使途を明らかにすべきだ。選挙で応援した菅義偉首相も人ごとでは済まされない。

 今回の大規模買収事件が端緒となり、吉川貴盛元農相が収賄罪で在宅起訴され、別の収賄罪に問われた秋元司元内閣府副大臣と合わせ4議員が立件された。金権政治がまん延している。緊急事態宣言下の与党幹部の銀座通いにも通じる倫理観欠如に国民の政治不信は高まるばかりだ。

 議員辞職での幕引きは許されない。国会は、案里氏の招致をはじめ「政治とカネ」疑惑を徹底解明することが不可欠だ。