就職活動に新型コロナウイルスの流行が重なった京都市伏見区の男性(26)。「できることをするしかない」と思っている(1月24日、中京区)

 みずみずしい顔つきの20代の3人に、新型コロナウイルスの流行が影を落とした。職を失ったり、職がなかなか見つからなかったり。それぞれの場所で頑張っていた。

 京都市伏見区の男性(26)は、「苦手意識があった」と言う就職活動にさらに大きな荷を背負った。2019年3月に大学卒業後、就職支援機関の研修を受け、準備を重ねた。製造業などに狙いを定めて企業への応募を始めた直後にコロナ禍が始まった。

男性の2020年の手帳。就職活動の予定が書き込まれていた

 20年春は企業説明会の中止が相次いだ。夏以降、企業面接への参加を再開したが、就職には結びついていない。「自分のことをうまく伝えられていないのかな」と自身に反省材料を見つける半面、「選択肢をゆがめられたかもしれない」と感じることもある。

 この1年を「すごい時代に就職活動がぶつかった。言葉にできないほどのストレスに耐える日々だった」と振り返る。「自分の居場所はないのかな」との不安を抱えながらも、「自立して、しっかり仕事して社会貢献したい」と願い、会社説明会への参加を続けている。

 西京区の粟津綾香さん(28)も求職中にコロナ禍が重なった一人だ。前職を20年3月に退職。それまでも転職を経験していたが、コロナ禍は以前と比べて就職が難しかった。退職前に面接した企業から内々定を得ていたが、コロナを理由に取り消しとなった。その後も希望する求人の募集は少なかった。

 9月にコロナの影響を受けた人を正規雇用につなげる京都府の「京都未来塾」に参加し、活路が開けた。京つけもの西利(下京区)での研修を経て、12月に正社員での就職が決まった。前職がIT系の広告業だったことと、コロナの影響でインターネット販売に力を入れる同社の人材への需要がうまく合致した。

難しい時期の転職を乗り切り、新しい職を得た粟津さん(1月7日、下京区・京つけもの西利)

 モノトーンのスーツに同社の名札を身につけた粟津さんは「働くのは楽しい」と話した。

 中京区の伊澤景さん(24)は20年9月、書道用品の販売や展覧会の設営を行う会社を退職した。

 コロナの流行で展覧会の中止が相次いだ。社長との面談で「離職を促されていると感じた」と言い、その場で退職を申し出た。次の職が見つかるか不安はあったが、「前に進むしかない」と気持ちを切り替えた。

 伊澤さんも京都未来塾を通じて製作所への就職が決まった。前職は自身に合っていないと感じていたこともあり、今では「いいきっかけになった」と思っている。

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 「第二の就職氷河期世代を生み出さないために雇用対策が必要」。京都未来塾の府の担当者は言う。40代半ばから30代半ばの「就職氷河期世代」は社会人になる時期に企業が新規採用を大幅に絞り込み、非正規雇用で働かざるを得ない人が続出した。未婚化や少子化が進んだほか、将来の社会保障制度を不安定にするとの指摘がある。国も氷河期世代への支援を始めたが、コロナによる就職難が再び重なった。京都未来塾の参加者も年齢が高いと就職が難しかった。

 3人のような若者が前例をたどらないことはもちろん、今なお苦しむ氷河期世代への支援も欠かせない。

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