日本のスポーツ界におけるジェンダーの問題点を語る斎藤さん(東京都千代田区)

日本のスポーツ界におけるジェンダーの問題点を語る斎藤さん(東京都千代田区)

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)による女性蔑視発言について、同組織委アスリート委員で元重量挙げ五輪選手の斎藤里香さん(37)=京都府舞鶴市出身、加悦谷高-立命館大出=が8日、東京都内で京都新聞社の取材に応じた。「森会長の発言には怒りよりもあきれた。多様性が重視される中で残念」と述べ、スポーツ界に根強く残る古い体質を変えるためアスリートも可能な限り声を挙げるべきと訴えた。

 斎藤さんが一連の発言で最も引っかかったのは、組織委の女性理事を評価する形で「わきまえておられて」と表現した部分という。

 「(会議で時間がかかると言われた)ラグビー協会の女性理事たちは、組織をいい方向に進めるために発言しているはず。なぜ『わきまえ』なきゃいけないのか」と苦言を呈する。また、男女平等をうたう国際オリンピック委員会(IOC)が森会長の謝罪後「問題は決着した」とすぐに声明を出したことにも疑問を抱くという。

 斎藤さんは2008年北京五輪で入賞したオリンピアン。重量挙げは女子の歴史が浅く「男性的」なイメージがあり、周囲から「女の子なのに…」などと偏見も持たれる中で競技を続けてきた。引退後に1年間留学したカナダではアルバイトの履歴書に男女の別を書く必要がなく、衝撃を受けた。ジェンダー(性差)を身近に感じてきた経験を踏まえ「森会長が辞めて解決する問題ではない。男性中心につくってきた日本のスポーツ界の現状が会長の発言として表に出てきた」。旧態依然とした組織風土に問題の本質を見いだす。

 組織委アスリート委員会は女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんが委員長を務め、五輪やパラに出場した元選手ら21人で構成する。年に2、3回会合を開き、選手目線での提言を行う。斎藤さんは「アスリートの発信はインパクトがあり、今回の問題に声を挙げるべきだと思う。ただ現役選手の中には代表選考への影響を恐れたり、政治的な発言をするべきじゃないと思っている人もいる。代わりに、私たちのような元アスリートが発言する必要がある」と感じている。