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 新型コロナウイルスの感染が京都府内で急拡大した昨年12月以降、京都市内で高齢者施設の利用者や職員の感染が相次いでいる。病床の逼迫(ひっぱく)によって感染した利用者が入院できず、施設内にとどまったことで感染が広がった可能性のある例も起きた。認知症の高齢者が感染予防を徹底することは難しく、施設関係者は頭を悩ませている。

 市によると、高齢者施設の利用者と職員の感染者数は昨年4月~今年1月の10カ月間で123施設の計472人。うち昨年12月と今年1月の2カ月間は88施設の計344人に上り、7割超を占めた。さらに感染者集団(クラスター)は昨年12月以降に22施設で発生している。
 
 京都市内にある入居の高齢者施設では昨年12月、利用者が感染した。65歳以上のため入院の基準を満たしていたが、病床不足で「入院調整」の対象となり、施設に残った。その後、他の複数の利用者にも感染が広がったという。
 
 この施設は小規模で家庭的な雰囲気。利用者の感染発覚後、「本来できるはずがない狭い空間をゾーン分け」(施設長)するなどできる限りの感染予防策は行った。しかし利用者は認知症の影響で理解が難しく、ゾーンに関係なくフロアを行き来したり、マスクの着用を促してもすぐに外したりする人もいた。
 
 また職員が防護服を着て普段と様子が違ったり、行動の制限を受けたりすることが大きなストレスとなり、利用者に混乱が発生。部屋から出ないでほしいと伝えても「どうして出たらいけないのか」と疑問を示す利用者もいたという。
 
 厚生労働省は今年1月、地方自治体などに向けた文書で、感染者が高齢者福祉施設に入所し続けるケースに言及している。「高齢者は原則入院」とした上で、病床が逼迫する場合には「入所を継続する場合がある」とする。一方、施設内のゾーン分けが困難な場合は入院について適切に判断するように求めている。今回の施設は明確なゾーン分けが難しい状態だった。
 
 施設長は「入院できればここまで拡大しなかったかもしれない」とし、「感染対策を続けることには大きな困難があった。病院が無理だから施設で待機というのは非常に酷だ」と訴えている。