京都府のコロナ用病床見直し

京都府のコロナ用病床見直し

 新型コロナウイルスの感染が広がる中、京都新聞社の双方向報道「読者に応える」には、さまざまな声が寄せられている。京都に2度目の緊急事態宣言が発令された1月14日以降、特に目立つのが病床数についての疑問だ。京都府が1月19日になって一転、従来の病床数の半分超が医療職不足で実際は使えないと公表したのが大きい。一方で政府が公式発表する都道府県別の病床使用率のベースは異なる数値だったりして、読者からは「分かりにくい」といった指摘もあった。これまでの本紙報道をあらためて整理し、一問一答形式で解説する。

 Q そもそも緊急事態宣言の最中に、府の病床数が720床から330床に半減したのはなぜなの?

 A 720床というのはコロナ発生の初期から、治療のノウハウもない中でとにかく感染患者を社会から隔離するため、入院可能なベッドを府内の病院から申告してもらい、積み上げたものなんだ。当時は国の方針もベッド数を増やすことが最優先だった。

 Q 入院できるベッドが少ないと不安になるものね。

 A 昨春の第1波、夏の第2波ではそれで問題がなかった。でも、寒くなった昨年暮れからの第3波は桁違いに感染が広がり、人員や設備が必要な中等症以上の患者が急増した。対応する医師や看護師がフル稼働しても拡大スピードに追いつかず、入院できない患者が増えてきた。ついに年末、自宅で6日間入院待ちをしていた80代女性が重症化して亡くなる事案が発生したんだ。府は「遺族の意向」として公表しなかったが、本紙では遺族などからの取材で独自に報道した。

 Q 記事を読んでびっくりした。京都は720床もあって使用率も3割前後だったから、なんでと思った。

 A 既に昨年暮れから、医療現場では「使用率の低さと切迫した実態が、あまりにかけ離れている」という声が出ていた。府は年明けになって急きょ、病床と医療スタッフの調査を開始。マンパワー不足から「すぐに使える病床」は330床にとどまると明らかにした。それを超えると、救急など他の医療に支障が出るという。LINE(ライン)を使った読者アンケートでは、9割近くが「発表が遅い」と批判していたよ。

 Q 危機感と不安が高まったわ。けど、その後も京都新聞で政府が発表する都道府県の病床使用率の比較表を見たら、京都府は低いままだったから不思議だった。

 A 国が府県に報告を求めているのは、ピーク時を想定した「最大確保病床」なんだ。「確保想定病床」とも呼ばれる。これは京都府では720床のままだった。緊急事態宣言下の府県では目立って低い使用率になっていたね。本紙は社会面で現場の実態に近い「すぐに使える病床」(現時点の確保病床)を基にした使用率を毎日掲載しているから、政府発表で全国集計が掲載される日には二つの使用率が載ることがあり、読者から「ややこしい」との声も寄せられた。

 Q 説明を聞いて思ったけど、「最大確保病床」って、すぐに使えないなら意味がないのでは。

 A 医療現場では「人手がないのだから、幽霊ベッドだ」なんていう見方もある。ただ、国からしてみたら、統一基準での全国集計は要るし、それを専門家会議が感染ステージの基準に採用しているから、簡単には見直せない事情もあるみたい。それで、京都のように独自で実際に使える病床を公表する府県が増えているんだ。呼び名はさまざまで、大阪は比較的早くから「運用病床」として情報公開している。

 Q 複雑ねえ。

 A 府は今月3日、最大確保病床も精査の上、約4割減の416床とあらためた。実態にだいぶ近づいたといえるかな。同じ日に「すぐ使える病床」も病院の努力で20床増やした。日々、治療法が確立されていない感染症と向き合う医師や看護師の苦労を思うと、20床でも大変だろう。

 Q 重症用も38床と86床と、二つの数字が出ている。

 A 府の呼称によると、前者は「高度重症用病床」で後者は「重症用病床」。分かりにくいので紙面で前者は現時点の「すぐに使える病床」、後者はピーク時を想定した「最大確保病床」と同じ意味で使うことが多い。前者の使用率50%未満、新規感染1日50人未満(7日間平均)が7日続くと、政府に緊急事態宣言の解除を求める目安になると、府は言っている。

 Q 3月7日まで待たずに、宣言が解除になる可能性もあるのね。あと、京都は民間病院もかなり頑張って感染患者を受け入れているという記事も読んだわ。

 A 府は受け入れ病院の内訳を公表していないが、本紙は独自調査で公的病院と民間病院がほぼ半々で受け入れている実情を報じた。隣の大阪は公的病院の受け入れが6割超というから、患者の受診控えで経営が悪化しているといわれる民間病院の健闘は心強い。コロナ禍が一定落ち着いたら、国と自治体は手薄だった感染症の医療体制を根本から見直す必要があるね。