タカラバイオの仲尾功一社長

タカラバイオの仲尾功一社長

タカラバイオのPCR検査試薬。今夏にも国内の製造能力を現行の8倍に引き上げる

タカラバイオのPCR検査試薬。今夏にも国内の製造能力を現行の8倍に引き上げる

 タカラバイオの仲尾功一社長は、滋賀県草津市内の本社に備える新型コロナウイルスのワクチン製造能力を、今秋にも現行の10倍以上に拡大する方針を京都新聞社の取材に明らかにした。政府が医薬品メーカーなどに支給するワクチン生産体制整備の補助金を活用し、供給体制を一気に増強する。

 仲尾社長は「経済の安全保障の観点から、ワクチンやPCR検査試薬の製造を国内で完結させることには意義がある」と強調。厚生労働省の補助金を活用してワクチン生産能力を増強するとし、「精製工程をどれだけ効率化できるかにもよるが、現在の10倍以上の規模になるだろう」と述べた。

 同社は大阪大発バイオベンチャー、アンジェス(大阪府茨木市)が開発する新型コロナのDNAワクチンの量産を担う予定で、4月までに当初想定で20万人分の量産体制を整えるとしていた。アンジェスは現在、DNAワクチンの臨床試験(治験)を進めている。

 一方、仲尾社長は、アンジェスとは別のワクチン開発計画にも携わっていることも初めて明かした。政府は米ファイザーなど欧米メーカー製ワクチンの接種を近く始める予定。タカラバイオは国内での安定供給に向け、将来的に複数のワクチン生産を担う可能性もある。

 また、コロナ感染の有無を判定するPCR検査試薬について、国内の生産能力を今夏にも現行の8倍となる月800万検体分に増やす方針も示した。経済産業省の補助金を含めて約10億円を本社の設備増強に投じ、中国・大連工場に集中していた製造体制を分散する。

 昨春の感染「第1波」の際、国内で海外産試薬が品薄になったことも踏まえ、国内向けの供給体制を強化する。試薬はノロウイルスや豚熱など幅広い感染症に活用できるため、「コロナ後」の新たな感染症の流行にも備える。