新型コロナウイルス禍が長期化し、自宅に閉じこもりがちな高齢者の健康の維持が心配されている。

 体を動かさず、人との接触がないままの生活を続けていると、要介護の一歩手前の「フレイル(虚弱)」と呼ばれる状態に陥る恐れがある。新たな生活様式に合わせた健康づくりが求められている。

 各自治体は、社会福祉協議会や民間の支援団体と連携して取り組みを進めてほしい。

 東京大高齢社会総合研究機構の調査では、コロナ流行前は「毎日外出していた」と答えた高齢者は6割以上だったが、流行後は4割以下に減った。

 特に、外出が「週1回未満」の閉じこもり傾向のある人たちは「バランスのよい食事ができていない」と答えることが多かったという。運動と栄養がともに不足し体力低下を招きやすい、と危惧されている。

 背景には、高齢者が特に感染リスクが高い「コロナ弱者」とされ、行政側も外出自粛の注意を強く促していることがある。

 厚生労働省によると、コロナ感染症と診断された人のうち、重症化する割合は50代以下が0・3%であるのに対し60代以上は8・5%に上る。死亡する割合も50代以下では0・06%に過ぎないが、60代以上は5・7%まで高まる。重症化率は30代を基準とした場合、70代は47倍にも達する。

 こうしたデータからも、高齢者は感染予防対策に十分気を付ける必要があると言えよう。

 だからといって、コロナ感染を防ぐために過度に行動を抑制することは、かえって心身の健康を損なうことにつながりかねない。

 高齢者を対象にしたサロンや講座の中止が相次ぐ中、新たな動きも生まれている。その一つが、家庭でも簡単にできる運動や趣味のオンラインによる紹介だ。

 住民団体や社協などが主体となり、膝伸ばしやスクワットなど椅子に座ったままできる体操、工作や手芸の実演を動画投稿サイト「ユーチューブ」などで配信しており、誰でも見ることができる。

 全国各地のケーブルテレビやコミュニティーラジオでは、運動の方法だけでなく、生活に関するさまざまなサービスや話題も提供する番組が作られている。

 「3密」を避けながら、人同士の交流を模索する工夫も進んでいる。風通しのよい屋外で輪投げやボール遊びを楽しんだり、民生児童委員らがクイズやパズルを載せた冊子を高齢者宅に配り、健康状態を尋ねる活動が行われている地域もある。

 こうした取り組みを高齢者がうまく活用できるよう、家族や周囲の人たちの声掛けと見守りも大切になる。

 コロナ対策の切り札と期待されるワクチン接種は、優先される高齢者でも4月以降で、収束は見通せていない。コロナ感染の防止を徹底しつつ、高齢者が人とのつながりを保ちながら健康に暮らすための知恵をみんなで出し合いたい。