東京五輪・パラリンピックの日本選手団の公式服装発表会に出席した森喜朗氏(右から2人目)=2020年1月、東京都内

東京五輪・パラリンピックの日本選手団の公式服装発表会に出席した森喜朗氏(右から2人目)=2020年1月、東京都内

 後任は川淵三郎氏-。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が周囲に辞意を伝えた11日午後から、主要な新聞、通信社、テレビを含め各マスメディアは、後任人事が決まったかのような前提で大々的に報じた。

 だがこの「密室人事」は一転、12日になって白紙となった。前日に記者団の取材に応じた川淵氏が、森氏からの依頼を受諾した経緯や意気込みを語っていた口ぶりに引っ張られたことはあろうが、私を含めてメディアの人間は慎重であるべきだった。批判をする前に「ミスリード」した責任を忘れてはならないと思う。

 私は川淵氏が後継指名されたプロセスに違和感が拭えず、パズルのピースがはまらない気がしていた。「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」という一連の森発言が問題となったが、根底には、事前の根回しでオープンな議論を形骸化させてきた男性優位の「永田町」や「スポーツムラ」の思想が潜んでいるのではないか。世間との感覚のズレに気づかず、不思議に思わない当事者たち、そしてメディアがいた気がする。

 12日夕。大会組織委員会の評議員会・理事会合同懇談会後、川淵氏はJリーグのチェアマン時代から変わらぬサービス精神で取材に応じた。今回の顛末[てんまつ]について「マスコミの皆さんが誤解するような言動をした責任を感じる。全て、俺が悪い。それでいいじゃない」といつもの口調で言ったが、額面通りに受け取っては進歩がない。