新型コロナウイルス対策に1千億円を積んだ滋賀県の2021年度一般会計当初予算案は、過去最大の6670億円(前年度当初比17%増)となった。県債発行額も過去最大に迫り、基金残高は十数年ぶりの低水準となる。

 京都府などに比べて医療や保健の資源が限られる滋賀県では、感染拡大の波が来ると1機関、1スタッフ当たりの負荷が大きくなる。現場の実情をよく把握し、今後の感染に備えて予算を効果的に使わなくてはならない。

 コロナ禍を機に、税金の使い方に対する県民の関心は高まっている。疲弊する医療・介護従事者や暮らしに打撃を受ける人々をしっかり支えつつ、規律と責任ある財政運営を求めたい。

 県内の産業は製造業の比率が高く、飲食や観光などサービス業の割合が低いこともあって、県税の落ち込み幅は比較的小さいと県は見込む。

 だが、地域経済の傷が長引けば滋賀県にとっても財政危機は決してよそごとではない。

 今回の予算案で三日月大造知事は、医療支援に加え、コロナ禍で増えたとの指摘がある女性の自殺や児童虐待の予防相談体制を拡充。雇用維持が困難な企業から人手不足の企業への出向・移籍を支援する雇用シェアサポートセンターの開設を打ち出した。

 「次世代のための施策」では、県内初となる高等専門学校(高専)の設置検討を始める。50年に二酸化炭素の県内排出量ゼロを目指し、森林の適切な管理で排出権(クレジット)を生み出して企業に売却、経済活動に伴う排出分を相殺する事業も盛り込んだ。

 立場の弱い人や環境に目配りした点は評価したい。一方で、道路・河川・農業関連のインフラ整備511億円の大きさは異様に映る。老朽化対策や防災力強化のためというが、過大な投資、優先度の低い事業が交じっていないか懸念が拭えない。

 コロナを転機に「未来を変え、未来に向けて皆で一歩を踏み出す」ための予算と知事は説明する。そうであれば大型事業や県庁の仕事を含めて聖域なく見直し、県民の共感を得る努力が必要だ。

 この1年、県内では感染源の探索や濃厚接触者の追跡が、感染拡大の芽をつむのに効果を上げてきた。こうした機能の強化や専門人材の育成も予算案には含まれている。ウイルスを「上流」で封じて医療と経済への影響を減らし、財政危機の回避につなげたい。