「気持ちに区切りをつけるためもあって取材に応じた」と語る稲葉さん(京都市左京区)

「気持ちに区切りをつけるためもあって取材に応じた」と語る稲葉さん(京都市左京区)

在宅の立命館大生が参加する米カリフォルニア大デービス校のオンライン講座(京都市中京区・立命館朱雀キャンパス)

在宅の立命館大生が参加する米カリフォルニア大デービス校のオンライン講座(京都市中京区・立命館朱雀キャンパス)

 世界で新型コロナウイルスの感染が広がる中、大学生の留学がままならない状況が続いている。相次ぐ延期の末に留学が中止となり新たな道を探し始めた学生、国内にいながら海外大学へ「オンライン留学」するプログラムを立ち上げる大学。それぞれが今できることを模索しつつ、コロナ禍の中での学びの可能性を描こうとしている。

 「入学前から行きたかった留学が中止になった。コロナ禍でやむを得ないとはいえ、持って行き場のない思い」。京都大工学部3年稲葉皓信さん(21)は語る。新型コロナが世界中に広がり始めていた昨年2月、韓国の大学への留学が延期になった。暮らしている寮の友人たちに壮行会を開いてもらい、実家の福岡県から韓国へのフェリーに乗り込む2日前に受け入れ先から延期を促す連絡があった。

 当初は「半年もすれば、また行ける」と思っていた。しかし夏になっても流行が収まる気配はなく9月からの留学も延期。12月には留学中止が決まった。「奨学金の獲得など1年かけて留学の準備をしていた。不安定な現状で、改めて留学を申請するつもりはない」。稲葉さんは吹っ切れたような表情を見せる。

 韓国では情報系の分野を学び、京大の大学院進学の準備をする予定だったが、国内で勉強を続けて進学に備えることにした。高校時代から楽しみにしていた留学の夢は断たれた一方で、想定外の1年を過ごす中で自身を見つめ直す時間もできたという。「人生の中で、いずれ留学する機会はあると思う。今できることに注力するしかない」

 留学というかけがえのない経験がかなわなくなった学生たち。一方、立命館大(京都市中京区)は今年2月から全学部生を対象に、米カリフォルニア大デービス校(UCD)の講師陣から講義をリアルタイムで受けられるプログラムを開始した。

 学生ら約80人が参加し、1カ月かけて持続可能な開発目標(SDGs)を通じてグローバル社会を考える授業などで学ぶ。毎日午前中を中心に英語で講義を受けるほか、UCDの学生らとの交流もある。

 立命大国際部副部長の豊田祐輔准教授は「もちろん現地に行くのが理想には違いない。コロナ禍が収まれば再び留学を支援していく」と強調。その上で「今回開始したプログラムを通して、海外の環境に触れる新たな形を提示できた。ポスト・コロナの社会でも意味を持つはずだ」と話す。