東近江、米原の2市長選で現職が相次いで無投票当選を決めた。

 両市は平成の大合併で誕生して15年以上たつ。分庁舎や公共施設がなくなり、少子高齢化が進む地区もあるなど地域差が広がる。

 それだけに、市民の声を聞く機会が失われたのは残念だ。

 東近江市長には小椋正清氏が3選を果たした。市議の大半の支持を固め、2回連続の無投票となった。中心市街地活性化や近江鉄道全線存続などの実績が一定評価されたと言えよう。

 2005年と06年に1市6町が合併した時に11万6千人だった人口は11万3千人に減っている。特に鈴鹿の山あいの旧永源寺町域は15年で18%以上減少し、高齢化率は県平均を10ポイント以上も上回る。高齢者の運転免許返納が勧奨されているが、生活だけでなく医療や福祉への不安も募っており、暮らしの足を確保する施策は急務だ。

 にぎわいを取り戻しつつあった八日市地区の中心市街地では、新型コロナウイルス感染が飲食店経営や空き店舗対策に影を落とす。

 市内の観光拠点や山間地への足がかりの場として、中心地市街地の活性化は欠かせない。

 山間部、田園地帯、都市部と、市内の多様な課題に対応すると同時に、市の一体感をどう醸成するかが重要になる。

 米原市長は平尾道雄氏が通算4期目に入る。前回の選挙で有権者の信任を得たJR米原駅東口の統合庁舎建設は、5月に開庁の予定だ。合併した旧4町庁舎を使ってきた従来と比べ、年間3千万円以上のコストダウンにつながる。

 今後、旧4町から引き継いだ公共施設の集約が課題となる。市民1人当たりの延べ床面積は県内の市で2番目。維持費の負担は大きい。36年までに25%削減を目指すとしており、地域住民の利便と効率について丁寧な説明が必要だ。

 観光都市の彦根市と長浜市に隣り合い、県内唯一の新幹線駅を持つ強みをどう生かすか。官民一体で取り組む駅前のまちづくり開発は計画がたびたび変更され、コロナの影響もあってホテル開業は予定よりずれ込む。新庁舎内に設ける観光拠点を活用し、広域観光振興につなげたい。

 県内では昨年の草津、甲賀、湖南の各市長選を含め、無投票が続く。行政と市民との距離がますます広がっているように感じる。

 だからこそ、東近江、米原の市長には声なき声を拾い上げ、市全体に目配りして命と生活を守る施策を打ち出してほしい。