祝いの似顔絵とメッセージを書き込んだ色紙を受け取る住人(長岡京市向陽が丘1丁目)

祝いの似顔絵とメッセージを書き込んだ色紙を受け取る住人(長岡京市向陽が丘1丁目)

2021年に80歳を迎える地域の人を描いた似顔絵。来年以降も継続するという(長岡京市河陽が丘1丁目)

2021年に80歳を迎える地域の人を描いた似顔絵。来年以降も継続するという(長岡京市河陽が丘1丁目)

 京都府長岡京市内で高齢化率が最も高い河陽(かよう)が丘1丁目で、80歳以上の住民を祝う催しが行われている。20歳の節目を4回踏んだとして「ホームラン成人式」と命名。年齢を重ねても元気に過ごせる地域として、多世代のつながりを目指している。

 自治会が、社会福祉協議会や住民有志の協力を受けながら初めて企画した。新型コロナウイルス禍のため式典を取りやめたが、今年80歳になる住民へ似顔絵などの記念品を個別に渡している。

 11日には、自治会役員らと地域の子どもたちが各家を回った。長岡第五小2年の児童(8)は「もっともっと長生きしてください」と少し照れながら寄せ書きを渡した。3月に誕生日を迎える上田武司さん(79)は「まだまだ生きます。家族だけでなく、地域の人たちにも祝ってもらえてうれしい」と笑顔。9月が誕生日の永井由里子さん(79)も「まあ、にぎやか。たくさん来てくれてありがとう」とほほ笑むなど、心を躍らせた。

 取り組みの背景には地域の高齢化がある。河陽が丘1丁目の住民423人のうち、65歳以上は249人で、高齢化率は58・8%(2020年10月時点)。府内で最も高齢化率が高い笠置町の51・85%を上回る。

 市史などによると、一帯は竹林が開墾された開拓地で、戦後の1950年に「タキイ種苗河陽農場」が開業した。市内の農業発展に寄与し、67年に移転。高度経済成長まっただ中に跡地が宅地化され、70年代始めに多くの人が移り住んだ。

 自治会副会長で実行委の伊香實次(いこう・じつじ)さん(78)は当時から住み続ける。「昔は働き盛りの世代ばかりで市内のスポーツ大会はいつも優勝。元気な町でした」と振り返る。近年は自治会存続すら危ぶまれ、寂しくなった町を憂う。「代が変わっても、昔のような楽しい地域になる願いを込めた『終活』みたいなものです」と話す。

 初開催の今回は80歳以上の110人にも粗品を配る。ホームラン成人式を命名した自治会長の辻修治さん(76)は「20歳ごとの節目を繰り返し、4度目はホームに帰ってきたということ。新たな人生の始まりを皆で祝い、つながりが生まれるきっかけになれば」と期待を寄せた。