勾留中の生活保護受給者の情報通知

勾留中の生活保護受給者の情報通知

 事件で逮捕された生活保護受給者への保護費の支給停止手続きを円滑に進めるため、京都府警は4月から、受給者の個人情報を京都市に通知する制度を始める。市は受給者が勾留されている事実を確認した上で、保護費の一時停止などの措置を取る。全国2例目の制度だが、専門家からは「釈放後の迅速な保護のため、釈放の情報も把握できるようにするべきだ」との指摘も出ている。

 京都市は生活困窮者に対し、日常生活に必要な月額8万円前後(単身者の場合)の「生活扶助費」や、家賃代の「住宅扶助費」などを生活保護費として支給している。警察署などの留置施設に勾留されている期間は食事や日用品が公費で提供されるため、生活保護費は二重支給に当たるとして停止している。

 ただ現状では、京都市が受給者の逮捕を知る手段は本人の申告などに限られる。市は2019年に勾留中の支給を65件把握し、受給者から562万円の返還を受けたが、「実際にどれだけあるかは分からない」(市生活福祉課)とする。過去には1年間、逮捕に気付かず支給を続けたケースもあった。

 市は19年秋に府警に受給者情報の通知を要請し、既に同様の制度を持つ大阪府警を参考に検討してきた。このほどまとめた制度案では京都府警は逮捕、勾留した容疑者が京都市から生活保護を受給していると把握した場合、氏名や収容先などを市に連絡。市は担当者が受給世帯を訪問するなどして勾留の事実を確認すれば生活保護を停止する。釈放されれば、受給者の申告をもとに再開する。対象は容疑者本人だけで、同居家族への支給は継続する。

 大阪府警から情報提供を受けている大阪市は、17~19年度の3年間で528件(約6200万円)の二重支給を防ぐ効果があったという。京都市の担当者は「通知制度の導入で不要な支給の全体像を把握し、生活保護の適正化につなげたい」としている。

 生活保護に詳しい花園大の吉永純教授(公的扶助論)は「勾留中の生活保護費の一時停止はやむをえない」としつつ、住居の確保と家財道具の保管のため、住宅扶助は一定期間、継続した方がいいと指摘する。さらに「保護の停止中、市の福祉事務所は受給者の状況を経過観察する必要がある。釈放後は速やかに保護を再開できるよう、釈放情報も把握できる制度にすべきだ」と話している。