新型コロナウイルス感染収束への切り札となるのだろうか。

 米製薬大手ファイザー製のワクチンが、きょうから医療従事者に先行接種される。

 政府は当面、安全性の確認を主眼に接種する。順調なら、4月1日以降に65歳以上の高齢者への接種を始め、その後、持病がある人や高齢者施設の職員らにも拡大していく方針だ。

 コロナ禍で、これ以上、医療が差し迫ったり、経済への悪影響が続いたりする状態からは、一日も早く脱却したい。接種を機に、ワクチンの有効性が確かめられ、感染が収束に向かうことを、誰しも願っている。

 政府をはじめとする関係各機関は、万全の態勢を整え、接種に臨んでもらいたい。

 ファイザー製は、海外ですでに使用されている。治験では未接種と比べ、発症率が95%減ったそうだ。日本では、審査を簡略化する特例承認を適用して、接種が可能となった。

 ただ、比較的多いとされる発熱や体のだるさのほか、まれに重いアレルギー症状の副反応が、起きる。これらに対する備えは、きちんとしておくべきである。

 厚生労働省は、新型コロナのワクチン接種を、まん延を防ぐための緊急措置である予防接種法上の「臨時接種」と位置付け、無料で行う。

 このため、安全性に関する情報が不十分な妊婦を除いて、国民には接種の「努力義務」が生じるとする。

 とはいえ、強制をするのではなく、希望する人に接種するのが、原則だろう。心臓や腎臓などに基礎疾患がある人の相談には医師が応じるなど、個別の事情に十分配慮する必要がある。

 いずれにしても、安全を第一と考えてほしい。

 欧米と比べると、接種開始は約2カ月遅れた。

 後手に回ったこともあり、政府は先行接種の開始を急ピッチで進めてきた。このため、その後のスケジュールについては未確定な部分が多いとされている。

 各国が有効なワクチンの獲得競争を繰り広げる中、予定通りに供給量を確保できるのか、との不安もある。こうした状況では、各地で実際に接種に取り組む自治体が、うまく対応できないケースが出てくるかもしれない。

 政府と自治体、医療関係者が、さらに連携を深めておくよう、強く求めておきたい。