十一面観音立像(大津市指定文化財 岩間山正法寺蔵 平安時代)

十一面観音立像(大津市指定文化財 岩間山正法寺蔵 平安時代)

三面大黒天立像(安養寺蔵 江戸時代)

三面大黒天立像(安養寺蔵 江戸時代)

 石山寺の南西、大津市と京都市の境にそびえる岩間山。奈良時代、この場所に泰澄が建立したのが岩間寺(正法寺)で、古様な雰囲気を持つ十一面観音像が伝来しています。

 天衣を前に垂らさず体側に垂下するだけの図像や膝に衣文(えもん)を表さないことでボリューム感をみせる表現は、平安初期によく見られるものです。頰はパンパンに張りがあり、目鼻口の彫りが鋭いところも同様です。しかし、眠そうな表情や、彫りも浅く穏やかな雰囲気は平安後期の作風で、きっと平安後期に古い像を写して造ったのでしょう。奈良時代創建の寺ですから、コンサバ(保守的)が好まれたのでしょうか。

 岩間山から南東に南郷地域があり、瀬田川が岩にはさまれて急流となります。その右岸の山が立木山。弘法大師空海がここの立木に観音を刻んで寺院を建立したという伝承があります。

 ここに伝来の三面大黒天は、中央に大黒天、向かって左に毘沙門天、右に弁才天がくっついた、まさに合体ロボのような仏様。おめでたくご利益がありそうな三人がくっついていますから、効き目も三倍かも。それにしても特徴的なコミカルな顔ですが、なんとそっくりさんが三井寺にもいます。展示ではこの兄弟仏を並べています。ぜひ見比べてみてください。(大津市歴史博物館 寺島典人)

     ◇ 

 大津市内の10社寺でつくる湖信会設立60周年、日本遺産登録を記念した大津市歴史博物館の企画展「神仏のかたち-湖都大津の仏像と神像」(同館、びわ湖大津観光協会、湖信会、京都新聞など主催)に合わせて、大津の仏教文化を同館学芸員に紹介してもらいます。

 湖信会の10社寺は、浮御堂(満月寺)、西教寺、延暦寺、日吉大社、近江神宮、三井寺(園城寺)、石山寺、建部大社、岩間寺(正法寺)、立木観音(安養寺)です。

 ■企画展「神仏のかたち-湖都大津の仏像と神像」は11月25日まで、大津市歴史博物館(同市御陵町)で開催。月曜休館。有料。