2018年3月に閉館した東京駅八重洲口前の「京都館」(東京都中央区)=京都市提供

2018年3月に閉館した東京駅八重洲口前の「京都館」(東京都中央区)=京都市提供

 京都市は新年度、東京駅前の再開発に伴い2018年に閉館した情報発信拠点「京都館」に代わり、オンライン上に「バーチャル京都館」を開設する。閉館当時は東京五輪後に移転再開する方針だったが、厳しい財政状況や新型コロナウイルスの流行を受け、常設の拠点再開は断念した。21年度から3年間をモデル期間に位置付け、仮想空間上で京都の魅力を発信する。

 京都館は06年10月、東京駅八重洲口前に開館。首都圏への観光情報の発信や伝統文化の展示体験、地元産品の販売拠点となってきた。しかし入居する民間ビルの建て替えに伴い、18年3月に閉館。当時は東京五輪を控えた再開発で地価が高騰していたため、市は不動産市況が落ち着く五輪後に京都館を移転再開すると表明していた。

 ところが昨年、新型コロナの感染拡大に伴い、東京五輪の1年延期が決定。従前から脆弱だった市財政もコロナで追い打ちをかけられた。市によると、かつて京都館は賃料や運営費で年間約1億円の経費がかかっており、地価高騰が続く現在は賃料はさらに高くなるという。コロナ禍で実店舗の意義が薄れていることも踏まえ、市は「財政が厳しい中で、人件費もかかる常設拠点を新たに設けるのは厳しい」と判断した。

 バーチャル京都館は秋以降に開設する予定。利用者は自宅にいながら、3D映像を駆使した仮想空間で茶道や座禅といった日本文化を体感したり、伝統工芸品などの京都産品を購入したりできるという。観光や生活、企業向けの立地情報なども合わせて発信し、京都への誘客や移住促進、企業誘致につなげる。

 市は来年度当初予算に、バーチャル京都館の事業費として2千万円を計上。既にある京都館のウェブサイトや動画投稿サイト「YouTube」チャンネルの運営も続ける予定で、関連事業費は計3650万円になる。

 市クリエイティブ産業振興室は「バーチャルで今の時代にあった効果的な情報発信を模索していく。常設の拠点設置は難しいが、完全になくすのではなく、催事などは今後も検討していきたい」としている。