パソコンの前でオンライン座禅の参加者と一緒に集中する伊藤さん(京都市東山区・両足院)

パソコンの前でオンライン座禅の参加者と一緒に集中する伊藤さん(京都市東山区・両足院)

カウンター越しに接客する池部さん。現在は時短要請を守りつつ、オンラインでは味わえない雰囲気を楽しんでいる(中京区・Bar Paper Moon)

カウンター越しに接客する池部さん。現在は時短要請を守りつつ、オンラインでは味わえない雰囲気を楽しんでいる(中京区・Bar Paper Moon)

 新型コロナウイルス感染拡大による昨年4月の緊急事態宣言下では、会議や飲み会、習い事などさまざまな分野でオンライン化が進んだ。京都市内でユニークな取り組みのその後を追うと、オンライン化による可能性と限界が見えてきた。

 建仁寺(東山区)の塔頭、両足院の朝。「自分の思いを伝える方法は以前と変化がありましたか」。副住職の伊藤東凌さん(40)がノートパソコンに穏やかに問い掛ける。モニターの向こうには国内外の約40人がリモートでつながり、瞑想(めいそう)にふける。

 ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使ったオンライン座禅会。警策で肩や背中を打つ音はなく、45分の予定時間が静かに過ぎていった。伊藤さんは「一人一人がリラックスできる家の中でじっくりと考えることができる。通常の座禅とは違う価値はある」とうなずく。

 伊藤さんは元々、京都を訪れる訪日外国人向けに近くのホテルで座禅会を開いていた。外国に友人も多く、海外とのオンライン座禅は「いつかやりたいと思っていた」。構想を温めていた頃、コロナの感染拡大が重なった。外国からの訪問客がまちから姿を消し、昨年4月には国内に緊急事態宣言が発令されたことから実施を決めた。

 これまでの参加者は千人超。香港やタイ、米国など海外にも広がり、今では国内の参加者を上回る。ただ世界とつながったことで時差という新たな悩みも生まれた。欧州からの依頼も多く、3月からは試験的に月に1度は土曜の夕方にも開催するつもりだ。

 「座禅の本質は生活に根付いた活動の中で気付きを高め、ふたをしていた自分の可能性を開くこと」と伊藤さん。通常の座禅もオンラインも両方に良さがあるといい「大事なエッセンスを残しつつ、どうやって現代化するか」と模索を続ける。

 「やっぱり顔を合わせながらじゃないと。雰囲気を含めてお店。オンラインでは限界があった」

 中京区の繁華街・木屋町の夕暮れ時。「Bar Paper Moon(バー・ペーパームーン)」の店主池部篤泉(あつみ)さん(41)はカウンター越しに苦笑いを浮かべた。

 昨年4月、コロナの感染拡大で客足が減る中、「とりあえず何かやらないと」と挑戦したのが、ズームを通じて客と店の人が会話できる「オンライン営業」だった。

 申し込んだのは常連客中心に約40件。ただ実質的に続いたのは2カ月ほどだった。宣言が解除され、通常営業に戻ると自然に申し込みが減っていった。

 それでも普段海外にいる知り合いともやりとりができ「海外の方が(感染状況などは)大変なのに気に掛けてくれ、不安な気持ちも共有できたのがうれしかった。やってよかった」と話す。

 今回の緊急事態宣言下では午後8時までの時短要請に従いながら店舗営業を続けた。「短時間でも開けたのはスタッフやお酒の小売店さんのため。飲食店には協力金があるけど、ほかの業種は大変だと思う」と幅広い支援を訴える。