丹後魚っ知館に展示されている、ゴマフアザラシ・カン太君の骨格標本(宮津市小田宿野)

丹後魚っ知館に展示されている、ゴマフアザラシ・カン太君の骨格標本(宮津市小田宿野)

丹後魚っ知館で来場者を楽しませたカン太君(2015年12月、KANSOテクノス社提供)

丹後魚っ知館で来場者を楽しませたカン太君(2015年12月、KANSOテクノス社提供)

 京都府宮津市小田宿野の水族館「丹後魚っ知館」で3年前に死んだゴマフアザラシのカン太君が、骨格標本として展示スペースに戻ってきた。手足や歯など生きているアザラシでは細かく観察できない部分を見せる新しい役割を担い、再びお客さんを迎えている。

 1998年に北海道小樽市のおたる水族館で生まれ、2年後には魚っ知館の仲間入り。体長約175センチで、鼻をブーブー鳴らす愛くるしい姿を見せ、長く来館者に親しまれた。しかし、2018年に体調が急変。獣医師を呼んだが到着は間に合わず、飼育スタッフに見守られて、19歳で死んだ。

 死骸を火葬する案もあったが「『はい、さようなら』では悲しすぎる」と同館に残せないか模索。飼育員の南大昭さん(31)が、来館者が動物の体を学べる骨格標本にすることを提案し、制作に取りかかった。

 日常業務の合間を縫って骨から肉を丹念に取り除き、骨が入れ替わらないよう写真で位置を確かめながら、シリコーンなどで固定。カン太君が泳ぐ姿を想像し、全体のバランスが整うよう、試行錯誤を繰り返して、2年がかりで組み立てた。

 昨年7月に展示を始めると「恐竜みたい」と子どもの目を引き、親が「外にいるアザラシだね。見に行こう」と展示プールへ手を引く姿もあるという。

 完成時には、餌やりで言うことを聞いてくれない姿など、生きていた頃の日常が思い出されたという南さん。「生きているアザラシと見比べて、気になる部位を一カ所でも見つけてもらえれば、カン太君も喜ぶと思う」と期待している。