精巧さと存在感

木造 大燈国師坐像 江戸時代

 写真で見ると普通の仏像のようだが、小さい。雛型(ひながた)だ。高さ10センチに満たないものもある。だが、その精巧さと存在感は、京の仏師の技を存分に伝える。

 「仏像雛型」は、仏像制作に先立って作る縮小模型だ。必要となる木材の量や構法が確認でき、効率よく作業を進められる。写真のない時代、注文主に工房の実績を示す手控えとしても使われた。龍谷ミュージアムの特集展示は、昨年の「Ⅰ」、来年予定の「Ⅲ」と3回に分けて雛型と仏像制作の現場に迫る。

 江戸期から平成まで続いた京都仏師・畑治良右衛門が雛型420件を伝えてきた。うち関連資料を含む60点を展示する。

 前回に比べ、見慣れない姿の像が多い。男女が抱き合う「双身歓喜天立像」、少年期の姿が多い聖徳太子の42歳時とされる坐像。毘沙門天と、吉祥天とみられる2体が背中合わせの「双身毘沙門天立像」。江戸期は信仰が多様化し、注文も多彩になったのだ。

木造 双身歓喜天立像 江戸時代
木造 聖徳太子坐像 江戸時代
木造 双身毘沙門天立像 江戸時代

 「大燈国師坐像」の雛型は表面に数カ所の穴がある。「錐点」といい、制作時の比率の目安とした。寺院などで見る完成された像から、舞台裏に思いが及ぶことは少ないが、雛型からは作り手の生の動きが感じられる。

 完成品が判明した雛型もある。「賀茂明神坐像」は泉涌寺にある神像の雛型だと分かった。ただ現物は名称が変更されており、最初は分からなかったという。

木造 賀茂明神坐像 江戸時代

 前回展示では「これはあの寺の像の雛型では」との指摘や、現物の雛型が寄せられた。雛型にはまだ謎も多く、「来館した人にぜひ情報を寄せてほしい」と館は呼び掛けている。


【会期】2月20日(土)~3月28日(日) 月曜休館。
【会場】龍谷大龍谷ミュージアム(京都市下京区堀川通正面下ル、西本願寺前)
【開場時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【主催】龍谷大龍谷ミュージアム、京都新聞
【入館料】一般550(450)円、65歳以上450(350)円、大学生400(300)円、高校生300(200)円。かっこ内は20人以上の団体料金