パソコンやスマートフォンの画面に、インターネットを介した広告があふれかえっている。迷惑だと感じる人も多かろう。

 巨大IT企業が手掛けるネット広告の実態について、公正取引委員会が今週、初めての見解をまとめ、報告書として発表した。

 この中で、消費者の閲覧履歴や年齢などの情報を、利用目的に関する説明が曖昧なまま広告の配信事業に使うことなどは、独禁法上の「優越的地位の乱用」に当たると主張した。

 同感である。巨大IT企業に対して、個人で異を唱えるのは難しい。善処に向けて働き掛けを強めるよう、公取委などの公的機関に求めたい。

 米国のグーグルやフェイスブックといった「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大ITは、ネットでの検索や、会員制交流サイト(SNS)を通じて、消費者の閲覧履歴や年齢などの属性に加え、位置情報までの多岐にわたる個人情報を収集している。

 このデータを基に、消費者の関心に沿った広告を流すことによって、巨額の利益を得ている。

 公取委の報告書は、ネット検索などの分野で寡占的な地位にある巨大ITは、消費者より強い立場にあるとした。

 そのうえで、十分な説明なしに個人情報を収集したり、消費者が情報の利用を拒否した後も広告に利用したりする場合は、優越的地位の乱用に当たる可能性があると厳しく指摘した。

 ほかに、広告主と広告代理店に対して、契約内容の一方的な変更や配信の打ち切りで不利益を与えることや、巨大ITの運営サイトにメディアが記事を出す際に、配信料の算定基準が明確でないことも問題視した。

 スマホの普及とともにネット広告は急成長し、国内の市場規模は一昨年、2兆円を超えた。その多くを、一握りの巨大ITが独占的に得ている。

 消費者保護に関して責務を果たすよう促し、地位の乱用を戒めていくのは、当然ではないか。

 米英はじめ各国でも、こうしたネット広告の寡占状態に伴う弊害を、改善しようとする動きが相次いでいるという。

 日本では、巨大IT企業を規制する法が今月、施行された。

 対象は今のところ、大規模なオンラインモールとアプリストアの運営企業にとどまっている。同法に、ネット広告分野の規制を追加することが急務である。