新型コロナウイルスの感染予防のため、全国の大学でオンライン授業が広く実施されるようになった。

 教室での対面授業に比べて、コミュニケーションが不足し内容の理解が難しくなるとの批判がある一方で、復習が容易で自分のペースで学びやすい、といった声も聞かれる。

 全国の大学は、新年度から対面授業の割合を増やす方向だが、コロナ感染の収束は見通せていない。オンラインの有効性も検証しながら、学びと交流を深める工夫を積み重ねることが求められる。

 多くの大学は本年度の前期授業を、実習など一部を除いて原則オンラインのみで実施した。文部科学省の調査によると、後期からは対面も増えているが、8割以上の大学がオンラインを併用している。1月の緊急事態宣言の再発令では、京都大が3割の授業で行っていた対面形式を停止するなど慎重姿勢を崩していない。

 このため、通学の機会が減り、自室に閉じこもりがちになって、心身の不調を訴える学生の増加が懸念されている。大学の施設を十分に使えていないことから、学費の返還を求める運動も起きている。

 キャンパスでの友人との出会いや切磋琢磨(せっさたくま)を期待していた学生が、不安や不満を感じるのは当然だろう。

 各大学は、学生同士が集まって話し合える機会や相談窓口を設けるなど、きめ細かな対応に力を入れる必要がある。特に、現在の1年生や4月に入学する新入生への十分なケアが欠かせない。

 対面授業への移行が遅れている要因には、「3密」を回避するために十分な広さの教室を確保するのが難しいことが挙げられている。

 ゼミ形式の少人数制の授業を増やしたり、特定の授業に受講生が集中するのを防いだりする改革が求められよう。

 各大学が学生を対象に実施したアンケートでは、オンライン授業に対する肯定的な声も目立つという。「大教室では手を挙げて質問するのに勇気が要るがオンラインだとやりやすい」「資料がデータで提供されることが多くなり、活用しやすい」などの意見だ。

 教える側も、以前からインターネットなどを積極的に活用してきた教員とそうでない教員とでは、授業の分かりやすさや質問への対応などに差が生じているという。

 コロナ感染の再拡大に備え、オンライン授業のノウハウを蓄積していく意義は大きい。今後の対面授業の改善にも生かすことができるのではないか。

 大学の多くが、学外での体験学習などを柱としたアクティブ・ラーニングを取り入れている。すべての授業がオンラインとなることは考えにくい。相手の息遣いを感じながら対話を重ね、理解を深められるのは対面形式こその利点と言える。

 さらなる教育のIT化も見据え、大学での学びの在り方を模索する機会とするべきだ。