有職造花 雲上流 村岡松華堂 (C)スタジオバウ 久保田康夫

<京の知恵 しあわせの食 小宮理実>

 こんにちは。料理研究家の小宮理実です。二十四節気の「雨水(うすい)」となり、春の気が動きだしました。そろそろおひなさまの支度も整っている頃でしょうか。今回は3月3日の「上巳(じょうし)の節句(桃の節句)」のお料理をご紹介します。

 京都では上巳の節句で「ばらずし」をいただきます。酢飯に、甘く煮たシイタケやかんぴょうを細かく刻んで、おじゃこと一緒にまぜ込みます。華やぐ錦糸卵は欠かせません。薄焼き卵は両面を焼き、細切りにして酢飯の上に広げます。甘煮シイタケ、塩ゆでしたうすい豆(ウスイエンドウ)、甘酢しょうがを散らしました。

 「ワケギとお揚げさんのてっぱい」で使うワケギは、一つの株からいくつもの芽が出てくることから、縁起の良い食材として好まれています。焼いて細切りにしたお揚げさんと酢みそであえています。酢みそはまぜる回数を増やすとお味がまろやかになります。

 「シジミのショウガ煮」は、蒸し煮にしたシジミを貝から外し、そのときに出たエキスも加えて、ショウガと一緒に甘めのお味でいり煮にしています。

 ひな祭りにはつきもののハマグリは「ハマグリのすまし汁」にします。ハマグリを頭がかぶるくらいの昆布だしで蒸し煮にし、口が開いたら身を取り出し、上からラップをかけてください。このひと手間で身がふっくらします。ハマグリのうま味は最高のおだしです。お鍋に残ったお汁に昆布だしを加えて量を調整し、お味を調えて温めたものをおわんに注ぎます。盛り付けるときは、一対の貝の殻それぞれに身を入れ、ゆでた菜の花を添えて夫婦和合を願います。

 「ソラマメのエビすり身蒸し」は、おひなさまのようなおちょぼ口仕様です。ソラマメにエビのすり身を挟んで蒸しています。

 「菜の花の昆布茶蒸し」は、手軽に昆布茶を使いました。鍋に昆布茶を沸騰させ、菜の花を1分蒸し煮にしてからざるに上げて冷まします。桃色のかまぼこを小さく切って添えました。

 おひなさまのお料理は、春らしい彩りや、愛らしく小さく、を意識してください。旧暦3月3日にあたる4月の中頃まで、ひいな(ひな)の季節を楽しみましょう。(料理講座「幸せ運ぶフクチドリ」主宰)

ホームページ「料理研究家・小宮理実」(https://komiyarimi.com/)


◆小宮理実 こみや・りみ 1971年京都市上京区室町生まれ。おせち料理・行事食研究家。家庭で作る季節の行事食を伝えており、食育活動のほか、商品開発も手掛ける。著書「福を呼ぶ京都 食と暮らし暦」「京のおばんざい四季の味」。