「私の好きな日々」CDジャケット(©ted.h)

「私の好きな日々」CDジャケット(©ted.h)

中嶋俊晴さん(©ted.h)

中嶋俊晴さん(©ted.h)

 滋賀県彦根市出身、京都市立芸術大で学んだ声楽家中嶋俊晴さん(34)が今月、初めてのソロアルバムをリリースした。活動拠点だった欧州が都市封鎖(ロックダウン)され、慌ただしく帰国。芸術を見つめ直す時間を経てレコーディングしたというCDは、谷川俊太郎さんらの詩による日本語の歌のみで構成、「一つの詩集のようなCDになった」と話す。


 中嶋さんは、市立芸大音楽学部から東京芸術大大学院を経てウィーン国立音楽大大学院で声楽を学んだ。高音域を担当するカウンターテナーとして、バロック音楽を中心にオペラや現代音楽のソリストとして活躍している。


 京都市芸術文化特別奨励者、ローム・ミュージック・ファンデーション奨学生などの支援を受けて研さんを積み、2012年から欧州を拠点に活動。しかし、ドイツでの公演中に新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンが始まり、ウィーン、ロンドンを経由して昨年3月末に緊急帰国した。


 音楽活動が制限され、歌う気にもなれず2カ月以上も故郷の彦根市で「歌わずに歌うことについて考えていた」という。「家で穏やかな気持ちで聞いてもらえるものが作れないか」と考えた時にふと口ずさんだ曲が、ライフワークにしている日本語の曲だったという。


 谷川さんの詩に息子の谷川賢作さんが曲を付けた「ほほえみ」や現代音楽家武満徹さん作詞作曲「小さな空」など13曲を収録。感染が落ち着いた昨夏にレコーディングに臨み、賢作さんがピアノを弾いた曲も6曲ある。


 「春がきたけどなにもない/夏がきたけどなにもない」と歌う「小さな部屋で」など、「意図はしなかったがコロナ禍だから生まれたような選曲になった」と中嶋さん。2500円。