「有罪の根拠がどんどん崩れている」と語る伊賀弁護団長(左)=22日午後1時10分、大阪市・大阪弁護士会館

「有罪の根拠がどんどん崩れている」と語る伊賀弁護団長(左)=22日午後1時10分、大阪市・大阪弁護士会館

 滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性=当時(69)=が殺害され金庫が奪われた「日野町事件」の第2次再審請求の即時抗告審で、弁護団は22日、遺体の状況を巡り、強盗殺人罪で無期懲役が確定した故阪原弘元受刑者の「自白」と矛盾する鑑定書を新証拠として提出したことを明らかにした。大阪高裁と大阪高検との初の三者協議が今月開かれ、この鑑定書について高裁が高検側に反論を促したといい、再審開始の可否判断に向け、審理が本格化する見通しとなった。


 大阪市内で会見した弁護団によると、鑑定書では、法医学者が女性の遺体の状況を分析。遺体は側面を下にした状態で見つかったが、体の下側の皮膚に表れる「死斑(しはん)」が背中全体に見られたことから、少なくとも数時間から半日ほどあおむけだった後に、横向きに変わった可能性が高い、と結論付けているという。


 阪原さんは捜査機関に対し、女性を殺害後、すぐに遺体を遺棄したと供述しているが、弁護団は今回の鑑定とは矛盾が生じ、虚偽の「自白」などを根拠に有罪と判断されたとして、確定判決の不当性を訴えている。


 三者協議は15日に高裁の呼び掛けで開かれ、岩倉広修裁判長は死斑の問題に対し、「自白との齟齬(そご)があるのでは」と高検側に反論を促した。さらに、阪原さんが金庫の発見現場を案内したとされる「引き当て捜査」で、滋賀県警が現場から帰る際の写真を、行きの場面として入れ替えて調書を作成した疑いなどについても、「弁護側の主張に反論がかみ合っていない」などと高検側に主張を補充するよう求めたという。


 伊賀興一弁護団長は「協議では高裁が検察官に具体的な検討を求めた。審理を尽くそうとする姿勢が見え、山が動いたという気がした」と語り、阪原さんの長女美和子さん(57)は「家族にも光が見えてきた。もうひと踏ん張りしたい」と話した。事件を巡っては、大津地裁が2018年7月に再審開始を決定し、検察側が即時抗告後、高裁は積極的な指揮を執らず、遺族や弁護団は早期の三者協議を求めていた。