ペットが増え過ぎて世話をできなくなる「多頭飼育崩壊」が後を絶たない。解決には実態の早期把握と併せ、飼い主の生活の立て直しなど福祉や医療の視点を加えた総合的な支援が欠かせない。

 保護した犬や猫を劣悪な環境で飼育したとして、八幡市の動物愛護ボランティアが昨年11月、動物愛護法違反容疑で京都府警に逮捕された。自宅では犬猫の汚物やごみが積み重なり、多数の死骸が見つかった。長年、引き取り手のない犬猫を預かって飼い主探しに取り組み、活動仲間から「神様」と呼ばれていた。活動を続けるうちに多頭飼育崩壊に陥ったとみられる。

 これは氷山の一角にすぎない。多頭飼育は悪臭や騒音によって近隣住民とのトラブルを招き、全国各地で社会問題化している。

 要因は、飼い主の不妊去勢手術への無理解とともに、高齢化や経済的な困窮、精神的な病気、地域社会での孤立などが複雑に絡んでいる。欧米でも「アニマルホーダー(動物を抱え込む人)」として問題視されているという。

 環境省の調査では、多頭飼育を巡る苦情は2018年度、全国の自治体に2149件寄せられた。自治体が対応した385事例の分析で、飼い主が「経済的に困窮」が53%、「60代以上」が56%を占め、認知症などさまざまな疾患を抱える事例も少なくなかった。

 昨年6月施行の改正動物愛護法は適正を欠く密度で飼うことを初めて「虐待」と明記、厳罰化が盛り込まれた。ただ、責任を問うだけでいいのだろうか。多頭飼育は飼い主の暮らしをも破綻させかねない深刻な問題であり、自治体や動物愛護団体など周囲の粘り強い支援なしに問題解決は難しい。

 環境省は自治体向けに対策を講じる際のガイドラインを3月末までに策定する方針だ。劣悪な多頭飼育の解消には飼い主に対する福祉的な支援が不可欠とし、動物愛護と社会福祉の両部局が連携することなどが柱となる予定という。

 事態が深刻化する前に察知して対応することが重要で、近隣住民や民生委員らの協力を得てリスクを抱えた飼い主の把握が欠かせない。場合によっては獣医師や精神科医らによる支援も要るだろう。

 京都市は、飼い主と話し合う動物愛護部局の職員にケースワーカーなど福祉関係職員が同行する。甲賀市では官民が連携した「こうが人福祉・動物福祉協働会議」が定期的に情報共有を進めてきた。解決に向けた模索が続く。こうした地道な試みに期待したい。