米国が、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に正式復帰した。

 世界の国別の二酸化炭素排出量は、最も多い中国の28%に次いで米国が15%を占める。米国の復帰によって協定の求心力が高まり、排出削減の推進力が増すことが期待される。

 協定は、今世紀後半に世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにし、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指している。現状では、参加各国がより踏み込んだ対策を取らなければ、目標達成は難しいとみられている。

 復帰に伴い、バイデン米政権は4月22日に主要排出国の首脳らによる会合を主催し、参加国に「より野心的な行動を促す」と強調した。世界の「脱炭素」に向けて、国際的指導力の回復を目指す意向を鮮明にした形だ。

 発言に説得力を持たせるには、自らが温室効果ガス削減の高い目標を設定する必要がある。併せて、その目標をどう実現していくか、実効性のある具体策を示すことも求められる。

 米国は、2016年9月に当時のオバマ政権が協定を批准した。だが、トランプ前大統領は米国の負担が大きく「不公平だ」と批判し、昨年11月に離脱していた。

 バイデン氏は、50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げる。気候変動対策を米国の外交と国家安全保障政策の柱に据えるなど、議会審議を経ずに大統領令を多用して環境重視にかじを切っている。

 ただ、石油や天然ガス産業などの保護を重視した前政権からの急激な政策転換には反発も出ている。こうした国内の声に対応し、脱炭素の意義と実現の道筋を示せるかが問われよう。

 欧州や日本などは50年までに、中国も60年までに、それぞれ温室効果ガス排出「実質ゼロ」を打ち出している。だが、協定目標を達成するには、世界の排出量を30年までに半減させる必要があるとされている。削減に向け、対策を一層進めることが求められている。

 今年11月に予定されている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、各国の削減目標引き上げが焦点になる。世界最大の経済大国が率先して意欲的な目標を示せば、参加国に対策強化を促す効果は大きい。

 気候変動の影響が指摘される災害が頻発している。米国の復帰を機に、各国が協調して脱炭素を着実に進めなければならない。