国連が求める、難民の人権問題の改善に全く応えていない。

 政府が閣議決定した入管難民法改正案だ。

 国外退去命令を受けた外国人の長期収容の解消をうたうが、送還の促進が狙いではないか。欧米に比べて厳しい難民認定こそ、まず見直すべきだ。

 出入国管理庁は、送還逃れで難民申請を繰り返すことが、長期収容につながっているとみている。改正案が申請回数を原則2回に制限したのは、そうした理由からだ。

 しかし、日本も批准する難民条約は、迫害を受ける恐れのある国に送還することを禁じている。改正案は現行法の送還禁止条項に例外を設けたのだが、国際基準を踏み外すことになるのは明らかだ。

 改正案は申請制限の代わりに、一時的な社会生活を認める仕組みを新設している。これまでの「仮放免」に加え、「監理措置」や「補完的保護対象者」の認定だ。

 入管が支援者らを監理人に指定し、状況を報告させる。難民申請中や訴訟中の外国人を想定しており、上限300万円の保証金が必要だ。逃亡すると1年以下の懲役か、20万円以下の罰金だ。

 補完的保護対象者は、母国の紛争で帰国できない外国人が認定されると、難民に準じて在留できるが、実際は限定的となりそうだ。これら措置が入管当局の判断次第であることも問題だ。いずれにしても、就労を認めないことには生活できない。

 長期収容中にハンガーストライキで餓死したり、自殺したりする外国人が相次いでいる。昨年8月、収容者からの通報で国連の作業部会が調査し、入管施設での長期収容を国際人権規約違反とする意見を採択、日本政府に伝えた。

 収容に期間の上限がなく、自由を制限するのに司法審査もないのは、「恣意(しい)的拘束」にあたるとして改善を求めていた。

 しかし、改正案は改善意見に向き合っていない。これまでも国連から指摘されており、政府はしっかりと受け止めるべきだ。

 野党は共同で対案を国会に提出している。難民認定の基準の明確化や収容時の裁判所の関与などを提案している。国会では野党案も含めて議論してほしい。

 政府は労働人口の減少を受け、単純労働にも外国人の門戸を開いた。一方で低賃金や差別などの問題が指摘されている。外国人をめぐる政策を根本的に見直す時であり、難民問題についても国際的な視野に立ち議論する必要がある。