来月7日を期限とする新型コロナウイルス緊急事態宣言について、京都、大阪、兵庫の関西3府県が今月末に前倒しして解除するよう政府に求めた。

 発令が延長された10都府県のうち、関西と愛知、岐阜、福岡の計6府県は感染状況を判断する指標が「ステージ3」(感染急増)相当以下に改善している。政府は26日の対策本部で、首都圏の1都3県を除く先行解除の可否を決定するという。

 ただ、指標上では解除基準を満たしても、医療現場に余力ができたとは言えないとの指摘がある。感染が再拡大すれば、短期間で医療が再び逼迫(ひっぱく)しかねないと懸念されている。

 宣言が解除されれば、各府県は飲食店への時短営業要請を段階的に緩和していく方針だが、警戒を緩めてはなるまい。3密回避などの対策を強く求めるとともに、感染「再燃」に備えて医療体制を再整備する必要がある。

 京都府では先月14日の緊急事態宣言再発令後も、1日当たりの新規感染者が100人を超えていた。だが、今月23日時点で直近7日間平均の新規感染者は13人台に減少した。すぐに使える重症病床の使用率も2%に低下している。

 「緊急事態を脱した」とする知事らが次のステージでの措置に踏み込み、経済活動再開への比重を徐々に高めていくという判断だろう。

 だが、宣言の解除で、人の動きが活発になることが想定される。密な状況が生じれば、感染拡大の火種になりかねない。

 昨年の感染「第1波」では、花見や春の旅行シーズンになった頃から感染者が増加した。年度末はただでさえ、就職や進学、転勤などで移動が増える。感染者数の減少などが「ステージ3」にとどまる段階での解除に、懐疑的な声が出るのは当然ではないか。

 今回の「第3波」で、府内の医療体制はぎりぎりの状況に追い込まれた。府が確保したとしていた病床数が、実際にはその半分以下しか使えないことが判明するなど、現場との意思疎通不足を疑わせる事態も起きた。

 西脇隆俊知事は病床や宿泊療養施設を上積みする意向を示したが、府内でも感染力を増したとみられる変異株が見つかっている。

 政府や各府県は「第3波」を検証し、感染を抑制しながら経済活動を再開させることが可能かどうか、対策の道筋をしっかり示さなくてはならない。