儒教の祖を祭る孔子廟(こうしびょう)に那覇市が公有地を無償提供したことが、憲法の政教分離の原則に違反するかどうかが問われた住民訴訟で、最高裁は違憲と判断した。

 政教分離に関する最高裁の違憲判決は、1997年の愛媛玉串料訴訟と2010年の空知太(そらちぶと)神社訴訟に続き3例目で、孔子廟に関する判断は初めてとなった。

 判決は、憲法20条が定める政教分離の規定を厳格に適用し、公有地の無償提供が「宗教的活動」に当たるとした。政治と宗教を線引きする意義を改めて考える機会とすべきだ。

 那覇市の孔子廟「久米至聖廟(しせいびょう)」は、一般社団法人が13年に市中心部の公園に建設した。市は土地を無償提供したのは観光資源としての意義や歴史的価値があるためと主張してきたが、一審、二審ともに違憲判決が出ていた。

 最高裁は今回、空知太神社訴訟判決で示された「施設の性格、無償提供の経緯や態様、一般人の評価を総合的に判断する」との基準を用いた。

 その上で、那覇市の孔子廟は、多くの人が参拝して社寺との類似性があり、孔子の霊を迎えあがめ奉る儀式も行われているとして強い宗教性を認めた。

 免除されている土地使用料も年576万円と多額で、「市が特定の宗教に特別の利益を与え、援助しているとみられても仕方ない」と結論付けた。

 司法判断を重く受け止め、違憲状態の解消が求められる。

 ただ、今回の判決は、宗教的施設でも文化財や観光地としての価値があれば無償提供もあり得る、と言及している。

 孔子廟は、現存する日本最古の学校とされる足利学校(栃木県)をはじめ湯島聖堂(東京都)、旧閑谷学校(岡山県)など各地に存在する。国や自治体が土地、建物を所有する事例もあるが、歴史を学ぶ文化財や観光施設としての側面が強く、判決の影響は限定的ではないかとの見方がある。

 一方、孔子廟以外でも、公有地に建つ宗教的施設は多くある。政治と宗教の区分がきちんとなされているか、実情を踏まえた判断が求められよう。

 政教分離の原則は、かつて国家権力と神道が結びつき軍国主義を支えた反省の上に立ち、信教の自由を保障するものだ。

 最高裁判決を受け、各行政機関は、安易な支出や便宜供与が行われていないか再点検する必要がある。