日米両政府が今週、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)を巡り、現行の特別協定の期限を2020年度末から1年延長する改正議定書に署名した。国会で承認されれば、21年度の日本側の負担は2017億円となる。

 特別協定は、5年ごとに更新される。協議を前にしてトランプ前米政権は内々に、4倍増にするよう伝えてきたとされる。あまりにも法外な要求で、日本にとっては承服し難かった。

 それが、バイデン新政権になって、現行協定期限を先送りする日本の提案を受け入れた。

 一方的に負担増を求めるのではなく、同盟国同士の協調を重視する姿勢に転換したといえる。

 日本の関係者は、胸をなで下ろしているはずだ。

 ただ、22年度以降、5年間の新たな負担の在り方に関しては、仕切り直しの協議が行われることを忘れてはならない。

 バイデン政権は、東・南シナ海で覇権主義的な動きをみせる中国を、最も重大な競争相手と位置付けている。

 中国は今月から、日本の海上保安庁に相当する海警局に武器使用を認める海警法を施行した。その後、同局の公船が沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返している。日本としては、米国との同盟関係をさらに強化して、困難な事態が起きないような備えをしておきたい。

 こうした状況から、バイデン政権も今後の協議で、一定の負担増を求めてくる可能性が高いとされている。

 また、負担増以外にも、島しょ地域の防衛や、サイバー攻撃への対処、宇宙空間の監視などが、併せて提案されることも、予想されている。

 これらのすべてに応じるのは、金銭的にも、法的な制約からも難しいだろう。

 駐留経費の負担は1978年、円高や米国の財政赤字に配慮するかたちで、基地労働者の福利費用など62億円を支払い、始まった。

 度重なる増額によって、米国の2004年の発表では、日本の負担率は7割を超えている。

 今後の協議で日本は、地域の平和と安定に大きな貢献をしていることも訴え、負担増を最小限に抑える方針だという。

 日米ともにトップが交代したのを機に、同盟の新たな在り方についても、話し合っておくべきではないか。そのうえで、国民が納得できる結論を得てもらいたい。