変革と新風

 動物の柔らかな毛、体温、息遣い。描かれた次の動きが見える。その場の空気やにおいまで、画家の技と感性で描き出す。

竹内栖鳳「猛虎」 福田美術館所蔵

 日本画に新思想を吹き込み、京都画壇を動かした竹内栖鳳(せいほう)(1864~1942年)を中心とする展覧会だ。師の幸野楳嶺(ばいれい)をはじめ、同門の谷口香嶠(こうきょう)や都路華香(つじかこう)、弟子の池田遙邨(ようそん)や橋本関雪、小野竹喬、さらに堂本印象ら次世代も含め、全85作品で京都画壇の変革の時代を通観する。

 流派に属し、師の絵をまねるのが当然だった時代に栖鳳は新しい絵を目指し、独自の画風を前に出す。師の楳嶺が認めたことで、栖鳳は円山四条派のほか狩野派、南画などの多様な技法を取り入れた。この姿勢は守旧派から、サルの頭やトラの足、ヘビの尾などを併せ持つ妖怪になぞらえ「鵺(ぬえ)派」とやゆされた。

竹内栖鳳「金獅図」 福田美術館所蔵

 栖鳳は批判を絵で覆した。渡欧し、西洋美術を学んで発表した「金獅図」は日本にまだいなかったライオンをアントワープの動物園などで写生して描いた。唐獅子のイメージが定着していた神獣を、生きた動物として地に立たせたのだ。

竹内栖鳳「海光清和」 福田美術館所蔵

 型にとらわれず、写生と感性で見たものを描く。栖鳳の実践は若い世代を魅了し、門下に新たな才能が押し寄せた。

 視点を手前から奥へと導く構図。偶然のにじみやぼかしを生かした筆さばき。新しい絵を追究し続けた栖鳳は、明治から昭和への激動期を体現しつつ、品位と軽みを失わない。栖鳳を基点に見ることで、現代まで続く京都画壇の流れが明確になるだろう。

幸野楳嶺「蓮華之図」 福田美術館所蔵
池田遙邨「嵐山薫風」 福田美術館所蔵
橋本関雪「後醍醐帝」右隻 福田美術館所蔵
入江波光「青梅に仔雀」 福田美術館所蔵


【会期】3月1日(月)~4月11日(日) 火曜休館※会期中、一部展示替えあり
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【会場】福田美術館(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町)
【主催】福田美術館、京都新聞
【入場料】一般・大学生1300(1200)円、高校生700(600)円、小中生400(300)円、障害者手帳提示の人と付き添い1人まで700(600)円。かっこ内は20人以上の団体料金
【問い合わせ】福田美術館075(863)0606
※新型コロナウィルス感染防止対策で、予定を変更する可能性がある。来場前にホームページで確認を。