4月から京都に活動拠点を移す鴨志田弁護士(本人提供)

4月から京都に活動拠点を移す鴨志田弁護士(本人提供)

 裁判をやり直す「再審」制度に通じ、日弁連の特別部会長を務める鴨志田祐美弁護士が4月、鹿児島から京都に活動拠点を移す。昨春に再審で無罪が確定した元看護助手の西山美香さんが国や滋賀県を相手に提訴した国家賠償請求訴訟の弁護団にも加わった。4日の第1回口頭弁論に臨む再審弁護人は「再審法改正の新しいムーブメントを京都、滋賀から起こしたい」と決意を新たにする。

 鴨志田さんは、鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかり、殺人と死体遺棄の罪で服役した原口アヤ子さん(93)が無実を訴えている「大崎事件」の弁護団事務局長。日弁連の「再審法改正に関する特別部会」の会長でもある。

 大崎事件はこれまで3度の再審開始決定が出たものの確定には至らず、現在4度目の再審請求中だ。その背景として、開始決定に対する検察の不服申し立てを認めているがために高裁や最高裁で司法判断が覆る現行法の課題が浮き彫りとなり、大崎の再審審理と並行して法改正に向けた活動を東京中心に強化する必要性を痛感したという。

 京都とは縁もゆかりもなかったが、東京と鹿児島の中間にあたる利便性から新天地に選んだ。龍谷大や立命館大など研究者との交流があり、刑事事件に熱心な同業者の知遇を得ていたことも決断を後押しした。

 今後は京都を足場に東京と鹿児島を行き来しながらライフワークと呼ぶ大崎事件の再審無罪、両輪となる法改正の実現を急ぐ。「京都の研究者と実務家が共同して新たな風を吹かせたい」と期待を込める。

 西山さんの訴訟に関わるきっかけは、湖東記念病院(滋賀県東近江市)で患者を死亡させたとして服役した西山さんから届いた原口さんへの励ましの電話だった。同じように冤罪被害を訴える女性という共通項も多く、支援し合う仲に。昨年3月には大崎事件で4度目となる再審請求の申し立てに西山さんが鹿児島地裁まで応援に駆け付け、翌日は西山さんの再審無罪判決を鴨志田さんが大津地裁で見届けた。訴訟弁護団に自ら志願して加入した鴨志田さんは「美香ちゃんと一緒に闘うことで彼女への恩返しになれば」と誓う。