イチゴのムースにデコレーションを施す杉之原みずきさん(近江八幡市上田町・みいちゃんのお菓子工房)

イチゴのムースにデコレーションを施す杉之原みずきさん(近江八幡市上田町・みいちゃんのお菓子工房)

みずきさんが作ったケーキやプリン。味だけでなく見た目もかわいいと評判だ

みずきさんが作ったケーキやプリン。味だけでなく見た目もかわいいと評判だ

 家族とは会話できるが、学校などでは話せなくなる「場面緘黙(かんもく)症」の杉之原みずきさん(13)がパティシエとして腕を振るう「みいちゃんのお菓子工房」(滋賀県近江八幡市上田町)がプレオープン1周年を迎えた。毎月2回ほどの開店日は、夢を追う少女の姿に元気づけられた子育て世代や障害者らの予約でいっぱい。グランドオープンを目指す15歳まで腕を磨き続ける。

 みずきさんは6歳の時、場面緘黙症と分かり、一時期は不登校になった。野洲養護学校中学部に通う傍ら、日曜を中心に開店し、ショーケースにパンダ顔のケーキ、はやりのバスク風チーズケーキなどをずらりと並べる。

 転機は母親の千里さん(48)がスマートフォンを買い与えたこと。自らレシピを調べ、次々とお菓子を作るようになり、写真共有アプリ「インスタグラム」で反響を呼んだ。千里さんが背中を押し、2019年4月から毎月、県立男女共同参画センター(同市鷹飼町)でカフェを開いた。

 かわいくておいしいと口コミが広がり、完売する日も。自分の店を持つ夢に向けクラウドファンディング(CF)で資金を募り、全国309人から256万円が集まった。

 昨年1月、念願の菓子店をプレオープン。約2年後のグランドオープンを目標に、現在「修行中」だ。それでも来店の予約は常にいっぱいで、「店という場を通し、みいちゃんが社会とつながる過程が素晴らしい」として20年度の「グッドデザイン賞」で金賞に選ばれた。

 千里さんは「元々は自分たちのためにやっていたけれど、今はいろんな子どもが夢を追うという後押しのためにも、楽しく続けていきたい」と話す。