京都をはじめ6府県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が、2月末で前倒し解除された。

 感染者数は全国で減少傾向をみせている一方、ウイルスの変異株の広がりに拭いきれない懸念が横たわっている。

 変異株は、京都や滋賀を含め先週までに17都府県で確認され、既に国内で感染が継続する状態にある。感染性が強くなった恐れがあり、「第4波」につながる再流行を招きかねないと危ぶまれている。

 宣言解除後も感染防止への警戒を緩めるわけにはいかない。政府と自治体が連携し、積極的な検査と感染経路の調査で拡大の芽を摘んでいく必要があろう。

 変異株は英国、南アフリカ、ブラジルに由来する3タイプなどがあり、感染性の高まりは英国株で最大約70%増と推定されている。「切り札」として国内外で接種が進むワクチンの有効性に影響を及ぼす可能性も指摘されている。注視していかねばならない。

 国内の変異株感染者は空港検疫を含め200人を超え、昨年末の初確認の公表から約2カ月で全国的に拡大した。職場や子どもが通う施設に関連したクラスター(感染者集団)とみられる事例も発生している。

 厚生労働省に助言する専門家組織は先週、「変異株が急速に拡大するリスクが高い」と分析。英国などで従来のウイルスに代わって感染の主流となった「置き換わり」への危機感をあらわにした。

 6府県の宣言解除を了承した政府の諮問委員会でも、「変異株が流行する段階に入りつつある」(尾身茂会長)など、多くの専門家から強い懸念の声が相次いだという。

 いかに変異株の広がりを捉えるか、監視態勢の強化が不可欠だ。

 これまで変異株かどうか調べるのは、全感染者のうち検体のゲノム(全遺伝情報)解析を行う約5%にとどまっていた。政府は今月から、より簡便なPCR検査で短時間に変異株を検出できる新たな方法を全都道府県で行う。

 また、宣言を解除した6府県の歓楽街などで、無症状者らの集団モニタリング検査を始める。感染リスクの高いところに的を当て、変異株を含む流行の兆候をつかむのに有効だろう。保健所を主体に感染経路を追跡する積極的疫学調査の体制拡充も重要だ。

 後手に回って流行を繰り返す同じ轍(てつ)を踏まぬよう、政府は先回りした検査の活用と医療体制の備えに正面から取り組むべきだ。