跳び箱からの「段差前方宙返り」を決める男子生徒(滋賀県高島市安曇川町田中・安曇川総合体育館)

跳び箱からの「段差前方宙返り」を決める男子生徒(滋賀県高島市安曇川町田中・安曇川総合体育館)

跳び箱の上で側転を見せた女子児童(滋賀県高島市安曇川町田中・安曇川総合体育館)

跳び箱の上で側転を見せた女子児童(滋賀県高島市安曇川町田中・安曇川総合体育館)

 障害物を軽々と乗り越え、着地を決めるや駆けだし、体を弾ませながら次の障害物を勢い良く跳び越える。まるで忍者のような動きをする若者たちの動画が人気を呼んでいる。フランス発祥のニュースポーツ「パルクール」だ。2019年には泉ひかり選手が日本人初のワールドカップ女王となり、注目が高まる。この競技を取り入れた体作りに励む滋賀県高島市のスポーツクラブを訪ねた。

 同市安曇川町田中の安曇川総合体育館。今津中3年の男子生徒(15)が、5段重ねの跳び箱から空中で回転し、両足をきれいにそろえて着地した。「段差前方宙返り」という技だ。男子生徒が所属する総合型地域スポーツクラブ「認定NPO法人TSC」(事務局・同市今津町名小路1丁目)は昨年7月、パルクールの教室を開講した。現在、小中学生14人が受講する。

 日本パルクール協会(東京都)によると、パルクールは「走る・跳ぶ・登るといった移動に重点を置く動作を通じて、心身を鍛えるスポーツ」。他者と競う概念はないが、競技には、スタート~ゴールの障害物を越える速さを競う「スピードラン」や、障害物を利用して自由演技を行い得点を競う「フリースタイル」など4種目がある。

 同クラブの教室では、競技よりも体作りに重点を置く。「体育館やグラウンドだけでなく、まちの公園や広場も練習場所になるのが魅力」と語るのは、野澤有輝コーチ(20)。小学6年の時にパルクールの動画を見て競技に憧れ、自宅近くの公園で練習を重ねた。立った姿勢から後方に宙返りをする「バク宙」を軽々と披露する。

 開講時から続ける男子生徒は、中学ではサッカー部に所属し、ゴールキーパーを務める。パルクールの練習を並行することで「手が伸びるような感覚があり、サッカーでもボールの動きに素早く反応できるようになった」と話す。地元のバレーボールチームでプレーする本庄小6年の女子児童(11)は「ジャンプ力が上がった」と喜ぶ。「学校の体育でやらないような体の動きを楽しめる」と話すのは高島小6年の女子児童(12)。跳び箱上できれいな側転を見せ、着地も決めた。「中学に入っても続けたい」という。

 小野田陽佑コーチ(35)は「遊びのような動きを通じて、スポーツの基本動作を身に付けている。派手なパフォーマンスに注目が集まりがちだが、安全性に重きを置くパルクールの本質を学び、けがをしない体作りに取り組んでほしい」を力を込める。