金融機関としての信頼を大きく損なったといえる。

 みずほ銀行の全国の現金自動預払機(ATM)で起きた大規模なシステム障害は、全面復旧に1日以上かかった。ATMに挿入した通帳やキャッシュカードが戻ってこない事例が約5200件にも上り、店頭で長時間足止めされた顧客も少なくなかった。

 あってはならないトラブルだ。原因を究明し、再発防止につなげなければならない。

 みずほ銀は過去にも2度にわたって広範なシステム障害を起こしている。なぜ、みずほ銀にトラブルが多発するのか。組織的な問題にまで踏み込んだ検証が必要だ。

 今回の障害は、2月28日午前に発生し、全国で稼働するATMの8割以上に当たる最大4318台が一時停止した。

 1年以上取引がない口座約45万件の顧客データを登録し直す移行作業に、通常の月末処理25万件が加わったことでシステムの処理能力をオーバーしたという。

 不具合を検知し、システム全体への負荷を抑えるためATM全体の取引を大きく絞り込んだ。

 ATMは不正防止のため、取引中に問題が発生した場合はキャッシュカードなどを返却しない仕組みになっている。こうした「安全対策」が、今回は混乱を増幅させる結果になったようだ。

 記者会見で藤原弘治頭取は「想定の甘さ」を認めたが、顧客を優先するより、システムへの影響を重視する発想で制度設計がなされていなかったか。

 銀行システムは社会の重要なインフラである。決済や取引に支障をきたさず、被害を最小にとどめる管理・運用能力が問われる。

 トラブル発生後の対応も気になった。休日だったとはいえ、利用客への通知は主にホームページのみで、記者会見は翌日夕方まで行われなかった。後手に回ったと批判されても仕方ない。

 みずほ銀は三つの銀行が統合して発足した2002年と、東日本大震災直後の11年に大規模障害を起こし、金融庁から行政処分を受けた。その後、19年7月に約4500億円をかけた新システムへの移行を完了している。それが、なぜ3度目の大失態に至ったのか、しっかり説明する必要がある。

 社会のデジタル化が進むほど、それを支えるシステムも巨大化、複雑化する。そうした状況で、安全性や信頼性をどう担保するか。みずほ銀だけでなく、多くの企業に共通する課題である。