温室効果ガスの削減を目的にした地球温暖化対策推進法の改正案が、今国会に提出された。

 2050年までに排出量を実質ゼロにする目標を書き込んでいるのが目を引く。計画ではなく法律に明記するのは異例という。

 菅義偉首相が昨秋に宣言していたが、言いっ放しの印象が強かった。目標が法律に盛り込まれることで、政府の責任が明確になる。大きな意味を持つと評価したい。

 同法は地球温暖化防止京都会議(COP3)での京都議定書採択を受け国と自治体、事業者、市民が共に取り組む対策の枠組みとして立法化され、改正は13年以来。

 今回の改正案は、特に地域での脱炭素を重視している。再生可能エネルギー事業の計画を、市町村が地域貢献などの要件を踏まえ認定する。都道府県や政令市、中核市が作る温暖化対策の計画に、再生エネ導入の目標を追加する。

 すでに地域では、脱炭素宣言した自治体が京都府を含め200近くになる。ただ、宣言しても具体的な取り組みは決まっていないところも多く、改正案に盛り込まれた施策が期待されそうだ。

 一方で、太陽光発電や風力発電の設置をめぐる紛争が増えている。森林破壊や生物への悪影響などを訴え、住民が反対運動に立ち上がったところもある。

 改正案では、地域に協議会を設け、環境保全などを踏まえて再生エネ事業の促進区域を事前に決めることができ、紛争の回避が期待されている。それには地域協議会の公正な運営が不可欠で、構成員も自治体や地域関係者だけでなく、住民や専門家が入り議論を重ねることが求められよう。

 企業に対しては、排出量の書類報告を、各地の事業所ごとにオンラインでするよう改めている。急速に増えている環境配慮型の投資にはスピード感が重要で、デジタル化による情報公開で投資の活発化を狙っている。

 50年までの炭素ゼロ目標を掲げたのは、将来への「予見性」を打ち出すことで、投資を促すためだ。ならば、遠い先の50年と言わず、30年で半減と書き込んでほしい。目標への取り組みが明確になる。

 削減目標はエネルギー基本計画の見直しでも検討されていよう。そもそも、環境省は温暖化対策、経済産業省はエネルギー政策と、別々に議論されていることこそ、縦割り行政の弊害だ。50年炭素ゼロに向け、議論や政策を統合すべき時ではないか。改正法案と共に国会で議論してもらいたい。