京都府和束町に広がる茶畑。新茶シーズンに向けて準備が進む(同町原山)

京都府和束町に広がる茶畑。新茶シーズンに向けて準備が進む(同町原山)

 新型コロナウイルスの影響でお茶の消費が落ち込む中、宇治茶ブランドを発信する京都の茶業界は、茶のコロナウイルスへの効能に関する研究に熱い視線を送っている。茶農家は「何か効果はあるはず」と茶の効能を信じるが、「証明されないとコロナに効くとはいえない」と心境は複雑だ。京都府と京都大による共同研究も行われた。「飲用効果の証明まではできなくても、新茶シーズンを前に少しでも需要喚起になれば」と府の担当者は語る。

 京都府内最大の茶市場、JA全農京都茶市場(城陽市)では、昨年の取引額が前年より約3割落ち込んだ。土産に買い求める観光客は激減し、高級茶が活躍する茶会なども減り、生産、流通ともに大きなダメージを受けている。

 今年に入っても需要回復が見通せない中、業界が注目するのが、コロナへの茶の効能の有無だ。茶に多く含まれるカテキン類は、抗ウイルス作用や免疫力向上といった効能があり、茶による健康増進は国内外に向けた大きなPR要素になっている。「(コロナにも)効果があると、みんな思っている。需要回復の起爆剤として研究への期待は大きい」と、和束町で茶農家を営む畑広大さん(38)は話す。

■試験管内の反応

 昨年11月、奈良県立医科大は、市販のお茶と、新型コロナウイルスを試験管内で混ぜたところ、約30分でウイルスの大半が感染力を失ったと発表し、業界内で話題となった。だが、消費者庁表示対策課は「たとえ試験管内で反応があったとしても、飲用による効果の根拠にはなり得ない」とする。合理的根拠がないまま、「コロナに効く」といった宣伝をすれば、景品表示法や健康増進法に違反する恐れがある。

■結果積み重ねる

 京都府茶業研究所(宇治市)と京大ウイルス・再生医科学研究所付属感染症モデル研究センター(京都市左京区)は、茶農家や流通業者の依頼を受け、昨年5月から共同研究を始めた。茶業振興を担当する府農産課は「研究結果の公表は新茶の季節に間に合わせたい」というが、「今回の研究では、茶に含まれる成分の効能は分かっても、人体内で効果がある証明にはならないだろう」として、大々的なキャンペーンなどは行えないという。

 宇治田原町の茶農家下岡久五郎さん(79)は、府や、宇治茶の生産者団体と流通業者団体でつくる府茶業会議所などに研究の促進を働きかけてきた。「すぐに効果が証明できるとは思っていない。だが、この研究結果が次につながり、研究を積み重ねていくことが需要回復につながる」と話し、先を見据えた対応が必要と指摘する。

 飲用による効果の検証となれば、研究は大規模で高度なものになる。府農産課担当者は「これから全国で研究結果は増えていく。お茶の産地として、今回の結果報告を、研究競争のキックオフにしたい」と語った。