映画について話す古久保さん(左)と近藤監督=東近江市中野町

映画について話す古久保さん(左)と近藤監督=東近江市中野町

映画の一場面。極細のペンと色鉛筆で作品を描く古久保さん

映画の一場面。極細のペンと色鉛筆で作品を描く古久保さん

 滋賀県東近江市中野町のアール・ブリュット画家古久保憲満さん(24)を追ったドキュメンタリー映画が2日から京都市下京区の京都シネマで上映される。国内外で評価を受ける緻密で独特な世界観を持つ作品が制作される様子や、障害に立ち向かいながら生活する姿を活写している。

 アール・ブリュットは専門の美術教育を受けていない人たちの芸術。広汎性発達障害の古久保さんは、八日市養護学校高等部で教師に勧められ制作活動を始めた。色鉛筆と極細のペンで町の様子をミリ単位でこだわって描く作品は、国内コンクールで受賞し、欧州の展覧会に出展する。

 映画「描きたい、が止まらない」は古久保さんの作品に向けた情熱を映し出す。

 自身最大の作品である縦約1・6メートル、横約10メートルのロール紙を使って鉄道や遊園地を題材に描いた絵画が完成するまでの過程を追い、スイスのアール・ブリュット専門の美術館で作品を展示した際に細部が気になり、会場で微修正する姿を収める。自動車学校の教習で学科授業に苦労しながら運転免許を取得するなど芸術活動以外の様子もとらえている。

 東京のドキュメンタリー制作会社「パオネットワーク」が手がけた。2015年秋から約2年半、古久保さんに密着取材を続けた。

 近藤剛監督(45)は「障害者アートを映したかっただけではなく、一人の青年が壁を乗り越えていく様子も伝えたかった。才能を多くの人に知ってもらい、障害と健常の垣根を取り払うことにつなげたい」と語る。

 90分。京都シネマでの上映は8日まで。