官と業の異様な癒着の実態が、また明らかになった。

 総務省幹部の接待問題で、谷脇康彦総務審議官と巻口英司国際戦略局長がNTTの澤田純社長らから高額な接待を受けていた疑惑が強まった。

 NTTは総務省から事業計画などの許認可を得ている。国家公務員倫理規程が禁じる利害関係者からの接待に当たる可能性がある。

 谷脇氏は、放送事業会社「東北新社」に勤める菅義偉首相の長男らからも飲食代などの接待を受けていた。総務省は東北新社以外からの違法接待はないとの調査結果を公表したばかりだ。

 関係業界からの高額接待が常態化していたことを疑わせるだけでなく、自浄作用の欠如も露呈した形だ。行政に対する信頼を大きく損ねかねない不祥事である。癒着の構図の全容解明へ、徹底した調査を行う必要がある。

 週刊文春によると、谷脇氏は昨年7月までに澤田氏らNTT幹部と3回会食し、計17万円以上の接待を受けていた。同6月に澤田氏らと会食した巻口氏と当時総務審議官だった山田真貴子前内閣広報官は、代金約20万円のうち1万円ずつしか負担しなかったという。

 谷脇氏は5日の参院予算委員会で、昨年7月の接待で5千円を支払ったとし、「全体額が分からず、応分負担したと認識していた」と釈明した。常識的には通用しない言い分だ。

 NTTの接待があったとされる時期には、官房長官だった菅首相が「携帯電話料金は今より4割程度下げる余地がある」と発言している。通信行政を所管する立場にありながら、利害が絡む事業者との会食に疑問を持たなかったとすれば、倫理規程をあまりに軽視していると言わざるを得ない。

 武田良太総務相はNTTを含む通信業界からの接待に関する追加調査で、対象職員の範囲を広げて行うよう指示したと述べた。

 だが、会食への参加が明らかになった山田氏について加藤勝信官房長官は、既に退職しているとして調査対象にすることを否定した。身内に甘い調査を繰り返していては国民の納得は得られまい。第三者による徹底究明が求められる。

 農林水産省でも、事務次官らが利害関係者の鶏卵生産大手の元代表と会食していたことが判明した。企業と官僚の特別な関係が行政をゆがめたのではないかとの疑念が国民の間に渦巻いている。政府全体の課題としてとらえ、全省庁で調査を進めるべきだ。