一度は助かった命を守り切れないのは残念でならない。

 11日に発生から10年を迎える東日本大震災では、避難生活などで体調を崩して亡くなる「災害関連死」と認定された人が3700人を超える。死者・行方不明者全体の約6人に1人を占めている。

 その後の地震や豪雨の被災地でも関連死が後を絶たない。倒壊家屋に巻き込まれるなどの直接死の数を上回る例も少なくない。

 その一因に避難生活の劣悪な環境が指摘されている。だが、「非常時だから」と十分に改善されてこなかった。くしくも新型コロナウイルス感染対策で、見直しを迫られる状況にある。

 頻発する「災害列島」にあって、こうした悲劇を繰り返してはなるまい。苦境に置かれた被災者を守り抜く医療や介護、生活援助の在り方を検証し、支援態勢を整える必要がある。

 災害関連死の認定は、1995年の阪神大震災以降で計5120人に上るとみられる。2004年の新潟県中越地震では、余震を恐れた車中泊によるエコノミークラス症候群での死亡が続出。16年の熊本地震は関連死が死者全体の8割に及んでいる。見過ごせない問題だ。

 東日本大震災では、推計で最大47万人が避難し、2千カ所以上の避難所に身を寄せた。間仕切りもない体育館で雑魚寝をする厳しい環境で心身に不調をきたし、持病を悪化させる人が相次いだという。

 これらの教訓を踏まえ、とりわけお年寄りや乳幼児、障害のある人ら、災害弱者と呼ばれる人たちへの目配りが重要だ。

 国はこれまで、高齢者への配慮などを具体的に示した「避難所運営ガイドライン」を策定。被災地の要請を待たない「プッシュ型支援」で段ボールベッドを送るなど改善を図ってきた。

 現場では医療面の見守りに加え、介護福祉士や保育士らでつくる災害派遣福祉チーム(DWAT)の役割が期待される。京都、滋賀をはじめ昨秋までに33府県で結成されており、避難所に出向いて介助や相談、医療への橋渡しなどを担う。

 ただ、広く環境改善が行き渡っているとは言い難い。昨年来のコロナ禍では、避難所の「密」対策や増設が追いつかず、被災者のたらい回しも起きた。

 配られる食事も冷たいおにぎりや菓子パン、カップ麺など栄養が偏ったものが依然多い。

 被災下で避難所を運営する市町村の人材やノウハウにも限界がある。生活再建への長期支援も見据え、国や都道府県による人的・財政的な援助とともに、民間の業界、ボランティア団体との連携も重要となろう。

 そもそも災害関連死には統一的な基準や指標がない。認定は遺族の申請に基づき、医師や弁護士でつくる自治体の審査会が因果関係を認めた数に限られている。

 このため岩手、宮城、福島の被災3県の市町村間で認定率に最大約2倍の開きがあるという。全体的な実態をつかめていないのが現状だ。

 痛ましい関連死をなくすため、国は広く経緯を調査し、原因の分析や検証を通じて防止策に反映させていく責任がある。