東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言を巡るさまざまな反応は、社会に根を張る男女格差の現状を改めて浮き上がらせた。

 あからさまな性差別は論外だが、無知や思い込みから女性を一段低い存在とみなす「無意識の偏見」にとらわれていると自覚した男性は少なくあるまい。

 森氏の発言を擁護する声が自民党の政治家から聞かれた。森氏の後任となった橋本聖子氏を擁護するつもりで「男勝り」と表現したり、幹部会議への女性議員の参加をオブザーバーにとどめたりするなどの対応が、かえって批判を増幅させた。

 男女対等の社会をつくる先導役となるべき国会議員の意識レベルをはからずも示した形だ。

 政治の現場には、女性蔑視を容認する雰囲気が濃厚にうかがえる。意識改革が欠かせない。

 列国議会同盟によると、各国議会の女性議員の比率は平均25%。日本は9・9%(衆院)で166位となっている。地方議会では14%にすぎず、女性ゼロ議会も全体の2割近くに及ぶ。

 国民生活に関わる政策を審議する場での属性の偏りは、議論の内容にも影響する。各政党は女性議員を増やす具体的取り組みに本腰を入れねばならない。

 しかし、その動きは鈍い。

 2年前、国と地方の議員選で男女の候補者数をできるだけ均等にする努力義務を課した法律ができた。ただ、与野党とも現職の多くが男性で新人女性が入り込む余地は限られる-として棚上げしているのが実態だ。家族の反対や支援不足で立候補をあきらめる女性もいるという。

 そうした状況に手をこまねいていては現実は変わらない。比例名簿の登載順を工夫したり、資金面も含めたサポート体制を整備したりするなど、もっと知恵を働かせてもらいたい。

 女性の進出が滞っているのは議会だけに限らない。企業や公務員の女性管理職は一昨年時点で14・8%と、30~40%にもなる欧米との開きは大きい。

 政府は「2020年までに指導的地位の女性割合を30%にする」との目標を03年に設け、登用目標などの策定を企業や自治体に義務づける新法も設けた。

 しかし、登用は大きく進展せず、政府は昨年末、30%達成の期限を「20年代の可能な限り早期に」と先送りした。

 なぜ目標が達成できなかったのか、検証が必要だ。メディアを含む民間企業も、登用システムだけでなく「無意識の偏見」が根強く残っていないかを自己点検しなければなるまい。

 気になるのは「女性活躍」の旗を振る政府の足元で、逆方向の動きがあることだ。

 昨年末に閣議決定された男女共同参画基本計画から選択的夫婦別姓の文言が消えた。自民党保守層への配慮だという。

 別姓容認は世論調査でも多数派となっている。社会の流れと党内の意見が食い違ったままでは、女性政策の実施は困難だ。

 菅義偉首相は「女性活躍の勢いを止めてはならない」としている。自ら党内をまとめるリーダーシップを発揮してほしい。