10都府県を対象にした緊急事態宣言の延長決定後、記者会見で病床使用率の状況を説明する西村康稔経済再生担当相(2月2日、東京都)

10都府県を対象にした緊急事態宣言の延長決定後、記者会見で病床使用率の状況を説明する西村康稔経済再生担当相(2月2日、東京都)

 新型コロナウイルス患者を受け入れる都道府県の病床使用率が突如、修正されるケースが1月以降相次いだ。京都府など使用率が大幅に上がった府県がある一方、東京都は2月下旬になって大きく下落した数値を公表し、国会でも議論になった。都道府県によって病床の数え方が一定していないことが要因とみられる。政府は緊急事態宣言の発令・解除を判断する重要指標の一つに病床使用率を挙げており、数字自体の信ぴょう性を疑う声も出始めている。

 各都道府県は週に1回、新型コロナ用として確保を見込む病床数を厚生労働省に報告している。これを基に内閣官房は使用率を連日算出し、医療提供体制の指標として発表している。

 京都府の使用率は1月13日時点で39%と宣言対象地域の11都府県で最も低かった。医療現場の実態とそぐわないことを受け、複数患者が使っている部屋を個室利用とするなど改めて精査した。その結果、最大確保病床は従来の720床から416床(すぐに使えるのは350床)に目減りし、使用率は58%(2月3日)へ跳ね上がった。

 これに伴い2月5日の公表分から、政府の指標で使用率が「ステージ3」(感染急増)から「ステージ4」(爆発的感染拡大)に引き上がった。政府はステージ4に入るかどうかを緊急事態宣言の発令・解除の目安としている。当時、府内の新規感染者数は減少傾向に傾き始めていたのに、数字上は病床がより逼迫するというおかしな現象が起きた。

 神奈川県でも1月26日に約380床見直したことから、使用率は48%から60%に急上昇した。病床数は医療機関への聞き取りを積み上げた昨春段階から変更していなかった、という。

 逆に東京都では、2月24日に重症者の病床使用率が86%から33%に下がった。病床の数え方を都の基準から厚労省の基準に合わせたことによって1千床に倍増したためで一気に「ステージ3」相当に改善された。

 3月4日の参院予算委では緊急事態宣言の延長が検討されていた東京都の数値修正について、野党議員が「極めて重要なデータがあやふや。正しい客観的な情報に基づいた判断をされるべきだ」と主張。田村憲久厚労相は「計算の仕方が厚労省のものと東京都のものが違っていた」と述べ、母数に高度治療室が入っていなかったことを要因に挙げた。

 ある県の担当者は「そもそも病床数は都道府県ごとに基準がばらついている可能性があり、国が公表する病床使用率には意味がない」と疑問を呈する。

 菅義偉首相は5日の記者会見で基準の統一を再徹底する考えがないか問われ、「全国の都道府県はほぼ国の基準で行っているが、そうでないところは国の基準に合わせてほしい。そうした指導をしている」と述べるにとどめた。