団塊の世代が全員75歳以上となる2025年に、看護職員(看護師、准看護師、保健師、助産師)が最大27万人不足するとの推計を厚生労働省が発表した。

 最も不足する神奈川県をはじめ、都市部で不足が顕著となっている。訪問看護などの利用者が多く、医療需要などが供給を上回ることが要因とみられる。

 医療や介護などの社会保障費が急増する「2025年問題」を控え、厚労省は住み慣れた地域で暮らす高齢者に一体的なサービスを提供する「地域包括ケアシステム」の構築を進めている。

 昨年には介護職員が33万人以上不足するとの推計を公表した。特に訪問看護や介護の分野では、負担の重さなどから離職者が多く、全国的に不足する恐れがある。

 人材確保には勤務環境の改善が急務だ。看護職員は約9割が女性であり、出産や子育てを理由とした休職や離職も多い。働きやすい環境づくりを進めたい。

 今回の推計は、看護職の勤務環境が改善された場合を想定し、残業時間と有休の取得日数のパターンを3種類設定して、それぞれ必要数を試算した。

 必要数は188万~202万人にのぼる。実際の看護職員数は年々増加するとみられるが、25年には175万~182万人までしか増えない見込みだ。

 現在の勤務状況に最も近いパターンの必要数は190万人で、27都道府県で不足する。京都府は985人、滋賀県も877人足りない。

 逆に人口減少が進む地方では供給が需要を上回り、地域の偏在が目立つ。ただ充足地域でも、へき地などでは不足する恐れがある。それぞれの実情に合わせた医療計画が求められよう。

 環境改善に関して有識者は、奨学金制度の充実や、復職支援を実施する都道府県ナースセンターの体制強化、ハラスメント対策マニュアル作成に向けた取り組みを提言している。

 日本看護協会の調査では、看護職員の半分以上が暴力やハラスメントを受けたことがあると回答した。訪問看護ステーション事業者団体の調査でも同様の被害が明らかになっており、見過ごせない。

 職員らが安心して働ける環境の整備を急ぎたい。

 労働時間短縮などの改善を進めれば、もっと人が必要になる。人材確保には財政面の拡充が欠かせない。長期的視野で医療の在り方を見直すことも必要だ。