職場では「いい人」なのに、家庭では妻子に威圧的に振る舞う。「妻は俺の仕事の大切さを分かってない」「妻子のためを思っている」と、非を認めることはない▼家庭内暴力(DV)の加害者を取材した記録作家豊田正義さんの著書に登場する男性たちだ。支配欲が先立ち、妻が意見することを許さない-。豊田さんはDV男性の特徴をこう分析する▼パワハラともとられかねないこの態度、どこかで見たような気がする。沖縄に対する安倍晋三政権の姿勢である。選挙の度に辺野古の新基地ノーを突きつけられても無視。先月の県民投票の翌日も工事を続行した▼安全保障や日米安保を理由にするのは「俺は大切な仕事をしている。文句を言うな」というDV加害者の物言いを思わせる。沖縄の意向を無視しながら振興策をちらつかせるのは「お前のためを思っているのに」という言い方に似る▼地元のことは地元で決めるという当たり前の権利が奪われ続けているという感覚が、沖縄にはある▼きのう玉城デニー沖縄県知事と会談した安倍首相からは、県民投票の結果を尊重する姿勢はうかがえなかった。沖縄が意見することは許さない、ということか。かたくなな方針を支える背景には、本土の無関心があるのではないか。自分ごととして考えたい問題だ。