明治期から大橋さん(右)の曽祖父が使っていた麻織物の道具=滋賀県愛荘町愛知川・近江上布伝統産業会館

明治期から大橋さん(右)の曽祖父が使っていた麻織物の道具=滋賀県愛荘町愛知川・近江上布伝統産業会館

 曽祖父が滋賀県の湖東地域で盛んな麻織物業を営んでいた大橋康男さん(72)=同県愛荘町=が、使われずに眠っていた明治期-戦前の機織り道具約1200点を、同町の近江上布伝統産業会館に寄贈した。古い機織り道具が残っていることは珍しく、同施設内で作業する職人たちが一部を再利用している。大橋さんは「また使ってもらえれば、ご先祖様が喜ぶ」と語る。

 大橋さんによると、1857(安政4)年生まれの曽祖父・安太郎さんが家業として麻織物製造と布問屋を営み、祖父の泰二郎さんも手伝っていた。昭和期、大戦中の景気不安で廃業したという。


 大橋さんが空き家になった安太郎さんの生家を整理した際、大量の機織り道具を見つけ、1月中旬、同館に調査を依頼した。


 このうち手織り機2台は明治期の品で、記された製造者や地名から町内で作られたとみられる。経糸の準備に使う台や糸枠は今は手に入らない貴重品で、同館の職人が既に活用している。「近江麻布同業組合製造業」と墨で記され、製造許可を示す立て札もあった。


 いずれも経年劣化で木が変色しているが、大半は保存状態が良いという。同館の田中由美子事務局長(58)は「古い機織り道具は廃業と共に捨てられることが多いが、残っていたのはありがたい。傷んできた道具の代わりに使いたい」と感謝している。


 寄贈された道具は、3月28日まで近江上布伝統産業会館で開かれる販売や体験教室などのイベント「うつろい麻フェス」の期間中、展示される。入場無料。同館0749(42)3246。