滋賀県庁

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 前理事長から性暴力やセクハラを繰り返し受けたとして元職員から民事訴訟を起こされている社会福祉法人「グロー」(近江八幡市)が、滋賀県立2施設の指定管理者に再指定される見通しになり、県民らから疑問の声が上がっている。グローは性暴力の有無などの事実関係やハラスメント防止体制について公に説明しておらず、施設利用者らは「説明責任を果たすべき」と不信感を募らせている。

 滋賀県議会厚生・産業常任委員会で9日、県立の障害者支援施設「むれやま荘」(草津市)と障害児入所施設「信楽学園」(甲賀市)の指定管理者にグローを再指定する議案の採決があり、賛成6、反対1で可決された。3月末の指定期限切れに伴う再指定で、12日の本会議で可決されれば、グローは4月以降も3年間、2施設の運営を任される。

 訴状などによると、元職員の女性ら2人は前理事長の男性から出張先のホテルで性暴力、職場やメールでセクハラを受け、抗議すると仕事を与えられず罵倒されるパワハラがあったとし、前理事長とグローに対して計4200万円の損害賠償を求めている。

 訴訟について、グローはホームページで「報道で一方的な糾弾がされている」とコメントし、京都新聞社の取材に対しては「係争中のため答えられない」としている。

 グローが運営する施設に子どもを預ける保護者は「何も明らかにしないのはおかしい」と憤る。ただ、子どもに不利益が及ぶかもしれないとの思いから「グローに直接『おかしい』と言うのは怖い。みんな同じ気持ちだと思う」。県内で福祉施設を運営する男性は「県は本来、再指定をやめるべき。県が独自に調査グループを作ってハラスメントがあったか調査すべきだ」と話す。

 昨年11月の提訴を受け、県はグローに実態調査などを求めた。関係者によると、調査は今年1月に全職員を対象にオンラインや個別で行われ、職場内でハラスメントを受けたことがある―との回答が複数寄せられたという。

 県は1月、指定管理者選定委員会で、規定の4基準を使ってグローを再度審査。緊急時への対応など「安定した管理運営能力」について昨年10月の初回審査より評価を下げたものの、全体では基準を上回ったとした。

 9日の県議会委員会での採決で反対した節木三千代県議(共産党)は「グローは(訴訟に関わらない)ハラスメント対策ぐらいは会見や文書で法人の考えを公表すべき。県も(県議会に諮る前に)県民に見える形でグローの対応を明らかにできなかったか」と対応を疑問視する。