熊本地震で神社の湧き水を求めて並ぶ被災者。給水車が来ない避難所も多く、大勢の人が湧水地を探し、水をくんだ(2016年4月、熊本市東区秋津・中無田熊野座神社)

熊本地震で神社の湧き水を求めて並ぶ被災者。給水車が来ない避難所も多く、大勢の人が湧水地を探し、水をくんだ(2016年4月、熊本市東区秋津・中無田熊野座神社)

南海トラフ地震の京都と滋賀が受ける最悪の被害想定

南海トラフ地震の京都と滋賀が受ける最悪の被害想定

 未曽有の巨大災害とされる「南海トラフ地震」が起こると、最悪の場合、東海から九州にかけての太平洋側は大津波と震度7の揺れで壊滅的な被害が想定されている。救援や支援はこれら被災地に集中するため、京都や滋賀のような「被災地の外縁部」では自力で苦境を乗り切ることが求められる。その時、京都と滋賀の水道や電気などインフラはどのような事態に見舞われるのか。専門家や自治体への取材を基にシミュレーションした。

■90%近くが停電、半数超が断水

 京都府と滋賀県では、地震の直後から、電気や水道がほとんど使えなくなる。

 内閣府の想定によると、停電は京都で233万軒(供給軒数の89%)、滋賀で82万軒(同88%)に及ぶ。上水道が使えなくなる人は、京都で230万人(人口の89%)、滋賀は73万人(同52%)に上る。ガスは京都で3万6千戸、滋賀の500戸で供給停止となる。

 電気の復旧は比較的早く、被災翌日には停電軒数は京都23万軒(供給軒数の14%)、滋賀60万軒(同65%)に減り、1週間後には京都1万1千軒(同1%)、滋賀で2500軒(同1%未満)となる見通しだ。ガスは、被災1週間後には供給停止がほぼ解消される。

■1週間たっても続く断水、トイレなど衛生面が深刻化

 一方、上水道は1週間たっても京都の約26%、滋賀県の約27%で断水が続く。下水道の復旧は比較的早いが、上水道が停止していれば、飲料水やトイレを流す水などが入手困難になる。トイレが流せず、避難所や各家庭で衛生面の問題が深刻化する恐れがある。上水道の復旧は1カ月以上かかる場所もあると想定される。

 鉄道や高速道路も長期間影響を受ける。名神高速道路やJR東海道線などは、京滋でも1週間~1カ月ほど不通となる恐れがある。東日本大震災では、東北自動車道の全線通行止め解除まで約30日、JR東北線の全線運転再開まで約40日かかった。

■長期間、電力不足で長引く計画停電

 南海トラフ地震では、太平洋沿岸部の発電所が地震・津波によって被害を受けるため、電力が西日本一帯で長期間不足する。このため、大規模な計画停電が避けられないとみられる。

 「人と防災未来センター」(神戸市)の寅屋敷哲也・主任研究員の試算では、電力需要の大きい8月に地震が発生した場合、1カ月後でも近畿地方で需要の57%しか電力が供給できないという。

 北陸や九州など遠方の電力会社から供給を受けても、京滋で1日に2時間×2~3回といった計画停電が1カ月以上続く。太平洋側の火力発電所の津波被害が大きかった場合、電力不足が年単位で長期化する恐れもあり、復興に向けた工事や企業活動にも大きな影響が出るという。