炎症性腸疾患や白血病の治療などで使われ、一部で重い副作用が懸念されている免疫抑制剤・抗がん剤「チオプリン製剤」について、滋賀医科大(大津市)の河原真大・血液内科講師らの研究グループは24日、適正な使用量が分かったと発表した。副作用が出やすい遺伝子を持つ患者には、従来の投与目安の10分の1~50分の1が適量とし、今後の安全な使用につながるとしている。


 研究グループによると、チオプリンは国内では約50年前から使われ、現在は潰瘍性大腸炎などの患者約20万人の3割に使用されている。安価で効果も高い一方、特定の遺伝子異常を持つ患者に投与すると、白血球が急激に減ったり、全身脱毛を起こしたりし、使用をためらうケースも多かったという。
 研究では、チオプリン投与による副作用が出やすいとされる「ヘテロ多型」と「ホモ多型」という遺伝子異常を持ったヒトを再現したマウスを、世界で初めて作製。マウスごとに異なる量を投与し、副作用が出にくい使用量を算出した。体重60キロの成人の場合、1日当たり50ミリグラムが目安とされているが、適量はヘテロ多型の患者には5ミリグラム、ホモ多型には1ミリグラムで、従来の目安による投与量と同様の効果を得られるという。
 河原講師は「遺伝子異常とチオプリンの副作用の関係を知らない医師は多い。今回発見した使用量の基準を参考にして治療に役立ててほしい」としている。
 研究論文は24日、オンライン科学誌に掲載された。